【認定ジャッジ志望者インタビュー】鐘子さん(チームAkashic Record)

クリエイターズ・レターVol8にて発表された認定ジャッジシステム。今回インタビューさせていただいたのは、そこへ応募される鐘子(金子幹/18歳)さんです。
高校生ながらも精力的に正確なルールの周知活動を行う彼は、どのような人物なのでしょうか?
(※応募フォームにHNを書く欄がないことからジャッジは実名での活動が予測されるため、ジャッジ志望者インタビューでは本名を併記させていただいています)

 

 

■経歴
*入賞歴*
CS:プレイヤー個人戦績(鐘子)
公式大会:EM中部レギュラーベスト8、DS中部2位

*運営歴*
第5回静岡CS:フロアジャッジ
第1回アカシックレコードCS:ヘッドジャッジ

 

■インタビュー
――本日はよろしくお願いいたします。最初にDM歴について教えてください
「最初は、家族でプレイしていました。姉と父と一緒に、1弾からですね。それから僕だけはずっとプレイしてます。
ナスサファイアの時期だけはちょっと辛かったですけど…よく遊びに行くのは岐阜の花火屋ってカードショップなんですけど、そこであの《ダンディ・ナスオ》×4、《ロスト・チャージャー》×4、《インフェルノ・ゲート》×4の全盛期【ナスサファイア】を毎週使ってたら、DRの参加者が僕だけになっちゃったんですよね」

――ちょ、ちょっと待って、それは君が悪くない?
「うーん…あの時はまだ僕も小学生でしたし、許してください。他には、Revまでの全カードを持ってるんですよ、僕。今は受験なんでちょっと中断してるんですけど」

――それはすごい…ところで鐘子さんというと”回答者K”の異名を取るほどルールに詳しいというイメージがありますが、調べるようになったきっかけは?
「僕が初めて出たCSは信州CSなんですけど、そこでジーザス(静岡CSフロアジャッジ)さんと予選2回戦で対戦したんです。そのとき、僕が効果の処理順を間違えて覚えてたことが分かったんですよ」

――というと
「そのときジーザスさんは【黒緑次元】を、僕は【青黒次元】を使ってたんです。ジーザスさんのデッキには《外道神カイカイ》が入ってたんですね。相手が呪文を唱えたら1ドローできる奴。僕はそれに《陰謀と計略の手》を唱えたんです」

――なるほど
「僕は《陰謀と計略の手》のハンデス効果が、《外道神カイカイ》の1ドロー後だと思ってたんですよ。でもジーザスさんにそれは違うよって指摘していただいてすごいびっくりして。あのころってまだDMwikiのルールに関する記述も不完全でしたから、そういう知識が僕には全然なかったんです」

――それが切っ掛けだったんですね
「そうですね。他にも、ロウ兄(花火勢リーダー、デュエルハウス保有者)が破損したカードに関する疑問が浮かんだ瞬間事務局に電話しているのを見たりして、ルールって気軽に聞いて大丈夫なんだ!って思ったりしたのもありますね」

――vaultのような非公式サイトへルールをまとめられているのもそうしたことが切っ掛けで?
「vaultは…評判のいい投稿者(vault内のユーザー評価尺度)に選ばれた後、ユーザの権限レベルが2になったんですけど、あそこってレベル2以上じゃないとFAQの編集ができないんですよ。で、レベル2になったし折角だからやるかと思い立ち、そのまま現在に至ります」

――ルール面での貢献は大きいですよね
「昔の自分を思い出しながら、誰かのためになればと思って続けています。昔はまだ今ほどルールやカードの能力が複雑化しておらず、文章に起こして伝えるということもそんなに難しくなかったこともありますね」

――今は複雑さが増したと?
「超次元のあたりからですかね…僕がややこしいと感じ始めたのは。明らかに難易度が上がったのは《デュエマの鬼!キクチ師範代》のような置換効果が増えてからでしょうか。昔は自身の効果で場に出た《斬隠蒼頭龍バイケン》に《聖鎧亜キング・アルカディアス》の効果がかからない、ぐらいでしたよね。置換効果って」

――《デュエマの鬼!キクチ師範代》は《フェアリー・ライフ》なんかと絡んだときの挙動がやや煩雑ですね
「テキストも複雑になりつつありますし…ほかにも、裁定変更でループできるようになった《マーシャル・クイーン》なんかの挙動は複数のカードが絡んでくるため難しいです。新しいプレイヤー人口が増えたことで表面化しただけなのかもしれませんが」

――SNSの出現によって、誤った解釈が広がることも増えたんでしょうか
「そうですね、TwitterがDMコミュニティに広がり始めた時期に起こったジャッジカプリコン事件(後述)なんかは最たるものでしょう。Twitterはデュエルマスターズを良くも悪くも変えたと思います。【ゾルゲループ】(任意の回数ヴォルグを場に出し、デッキ切れで勝利するデッキ)なんか、Twitterがなければ発見はもっと遅れたでしょう」

――朝方に氷華さんがルートを発見し、そのあとを引き継いだキラさんが夕方ごろデッキとして完成させたんでしたっけ。Twitterならではのリレーでした
「確かそうですね。実は、ゾルゲループもマーシャルループと同じく裁定によって強さが変わったデッキです。最後に下った裁定のおかげで《ヴォルグ・サンダー》を1枚投入するだけで済むようになり、ゾルゲループは第一線で活躍できるようになりました。
結局、事務局の人も人間なので、丁寧に筋道立てて質問しないと妙な回答が返ってきてしまうこともあります。自分の経験をまとめて以前記事にしたので、質問してみたい!って人の助けになるかも」

――ゾルゲループの裁定って、途中の裁定変更で《ヴォルグ・サンダー》が複数ないと動かないようになった話でしたっけ
「暫定回答がそれになったことがあったと思います。最終的な裁定自体はWotCから来るものなので、事務局も四苦八苦してるようなんですよね。最近で言えば《奇天烈 シャッフ》は対象に呪文とクリーチャーを同時に含むテキストのために奇妙な挙動をするようになってしまっていて」

――MtGのルールであれば《調和と繁栄の罠》と同じ挙動になるようです
「そうなんですか、それは初めて知りました。そうだったんですね…」

――裁定の話はさておき、ジャッジをしてみたいと思ったきっかけを教えてください
「元々、花火屋のDRでルール質問によく答えていたんですよね」

――花火屋にはどういう経緯で?
「vaultに地域ごとの掲示板があるんですけど、そこで紅茶(岐阜から関東へ移住した花火勢)と知り合って、花火屋へ来るよう誘われたんです」

――僕もTwitterで紅茶に誘われたのが花火屋へ行く切っ掛けだったなぁ…彼、いろんな人に影響与えてますよね。本人はいたって謙虚ですけど
「小2からSNSには触れてましたし、ドラゴンクエストモンスターバトルロードっていうアーケードゲームをプレイしてた時代にSNSで知り合った年上の方と実際にお会いするっていう経験もあったので、ネット経由で知り合いを増やすことには抵抗がありませんでした」

――それでいつしかDRのジャッジを務めるように
「元々はせんめん(花火勢)や紅茶がジャッジしてて、それがだんだん僕へ移っていったような感じです。4-5年やったんですかね」

――CSのフロアジャッジは第5回静岡CSが初チャレンジでしたよね
「そうです。前々から挑戦してみたかったので、ヤス(僕です)さん経由でThunders#36(静岡CS/藤枝CC主催・GP1stサブリーダー)さんへお願いして、2日目だけフロアジャッジとして活動させていただきました」

――どうでした?
「休憩の存在が驚きでしたよ」

――!?
「いや、なんか休まず働かなきゃいけないのかなーと思ってて」

――そういうことはないです
「なかったですね」

――…気を取り直して、影響を受けた方を教えてください
「いろんなことのきっかけになった紅茶、お世話になった静岡CSのメンバー、ルールをまとめるきっかけになったジーザスさんやロウ兄…いろんな方に影響されてきました。ルールまとめと言えば、ヤスさんの影響でMtGwikiを見るようになったことがあります。
MtGwikiとか遊戯王wikiって、カード個別評価ページ内にルールについての文章がまとまってるじゃないですか。これ凄い便利だなって思って衝撃を受けました。こうやって体系立ててまとめないとダメなんだと言うことを知ったのはそこからです」

――いいところは取り入れていきたいですね
「そうですね。誰かがやらないといけないことですし」

――体系立てたルールと言えば、総合ルールがついに出ました
「折角ああいうものも出たことですし、マナの置き方をこの機に見直してほしいです。逆向きに置くって言うのがルールなので。
結構有名な方が適当にマナを置いていたり、ジャッジとして注意したときに舌打ちされたりすると幻滅しちゃいますね…」

――CS運営で言うと18歳はだいぶ若い方ですが、今後はどのような形でデュエルマスターズに関わりたいですか?
「直近で言うと、GP2ndへはジャッジとして参加したいと思ってます。チームで働くことに憧れがあるんです。
他には、今まで通りルールのまとめですね。これまでデュエルマスターズをプレイしてきて本当に楽しかったので、その恩返しと言うかなんというか…ともかく、デュエルマスターズのために活動していきたいです」

――ありがとうございます。最後に、一言お願いします
「デュエルマスターズにも競技大会が増えてきました。でも、競技だからと言って厳しくすればいいわけではないと思います。
やっぱり対人ゲームですし、友達を大事にして、対戦相手には敬意を払うべきかと。”紳士たれ”という言葉がふさわしいですかね」

 

■インタビューを終えて
僕と彼が出会ってからかれこれ5年ぐらいになるでしょうか。今思うと初めて会ったときって中2だったんだな…。時の流れは速いものです。
彼はジャッジ以外にもコミケへ出展したりと、いろんなところで精力的に活動しています。今年は受験だったのですが、勉強の合間を縫って裁定をまとめてくれていました。最早ルール方面は彼の方が圧倒的に詳しいので、僕も話を聞いて勉強させてもらっています。頭いいやつは違いますね。
去年の静岡CSへ参加した経験が良い刺激になったようで…今後、更に活躍してくれることを期待しています。なんたって3月のアカシックレコードCSのヘッドジャッジは彼ですから。

インタビュー中に出てきたジャッジカプリコンについても補足しておきましょう。単なる勘違いの話なんですが…。
サイキックマスターズ当時のDMのルールには、相手が誤ってデッキ内を見るなどしたときのペナルティとして”ミスしたプレイヤーの対戦相手はシールドを1枚追加しても良い”というものがあったんですね。そのルールで追加されたシールドに《反射の大地カプリコン》が反応したら滅茶苦茶強いんじゃないかと言う、とあるSkypeグループ発祥のネタがあったんです。
勿論冗談だったんですが、Twitter上で変な切り取られ方をされて拡散され、PM中部当日にはこれが可能なのかどうか現地で質問するプレイヤーが現れたという…SNSの扱い方って難しいよねということをよく示している一件でした。

最近でも裁定絡みの勘違いはちょいちょいありましたけれど、鐘子さんはそういったことを極力減らしていくよう努力されている方です。
認定試験に、鐘子さんが合格されることを祈っています。


カテゴリ:インタビュー