【プレイヤーインタビュー in 静岡CS】あばばばさん(E1日本一)

2011年度に行われた全国大会、ビクトリー・ワン。今回インタビューさせていただいたのは、そこでエリア代表、そしてE1期日本一タイトルを獲得されたあばばば(22歳)さんです。

マーシャルから墳墓を打ち込む”墳墓マーシャル”で日本一タイトルを獲得。そして現在、カードボックス江坂店店長、認定ジャッジ、レアキラーズとしてデュエルマスターズの第一線で活躍し続ける彼はどのような人物なのでしょうか?静岡CSの場をお借りしてインタビューさせていただきました。

 


■経歴
*運営歴*
第3-4回のじぎくCS:フロアジャッジ
第1-2回江坂CS:主催
第7回平城CS:フロアジャッジ
第1-2回平安CS:フロアジャッジ
第1回寝屋川CS:フロアジャッジ
GP1st-3rd:フロアジャッジ

*入賞歴*
公式大会:E1期関西エリア代表決定戦 優勝、E1期日本一決定戦 優勝

 

■インタビュー
――本日はよろしくお願いいたします。まず、デュエルマスターズはいつごろからプレイされてるんですか?
「小学6年生の頃、DM-1からです。当時のコロコロに連載されていた漫画を読んで始めたクチですね。
漫画のデュエルマスターズは最初、MtGを主題とする漫画だったのですが、デュエルの神殿編のボスである白凰とデュエルするときに急にMtGからデュエマに切り替わったんですよね。それが切っ掛けで、皆と一緒にプレイするようになりました」

――そこからずっとプレイされていたんですか?
「いやー、辞めたり始めたり、の繰り返しです。カードも売ってまた買いなおしたり。
他に、遊戯王やMtGをプレイしていた時期もありました」

――そんなあばばばさんが、競技大会に興味を持った経緯を教えてください。
「2009年ごろだったと思うんですが、僕がヴァルディを使っていた時の話です。
当時の僕はヴァルディこそ最強だと信じてやまない純粋な少年だったんですが、友達が買ってきた構築済みベースのHDMデッキにボコボコにされまして…もうアレほんと強すぎですよ。《一徹のジャスパー》がタップしているHMにひたすら突っ込んでは手札に戻ってきてましたからね」

――あのころのデッキはすごかったですよね。僕の地元では《母なる大地》《バジュラズ・ソウル》を抱えるビクトリー・ソウルが猛威を振るっていました。
「あまりにも勝てないもんですから、僕もデッキを改造しまして。パックで当てた《聖鎧亜キング・アルカディアス》を使ったんですよ。相手は《腐敗無頼トリプルマウス》しか出せませんでした」

――ヒデェ(笑)
「そこから大きな大会に興味を持つようになって、エボリューションマスター(2009年の全国大会)に出たんですよね。あのときが始まりです。
翌年のサイキックマスターの権利も取ったんですが、生憎地震で大会が延期されてしまい…モチベーションを削がれたので2010年度は出場していません」
(※2011年3月11日の震災の影響で、3月13日に予定されていた京都大会は5月7日へずれ込んでいる)

――使用可能なカードプールは3月13日の物までとしつつ5月7日に延期という、珍しい措置が取られた大会でした。
「そして2011年。この年は本当に権利の取得に苦労しました。店に行ってはキリコにボコられ続けたのをいまだに覚えています。
結局、権利予選最終日の17時から始まる本当に最後の最後の権利戦でギリギリ権利を取りました。

エリア予選は京都が最初だったので、ローグ的な立ち位置だった【白緑シャンメリー】を使用。E1で多いデッキタイプといえば【Nエクス】でしたが、それに対して強かったんです」

――シャンメリーで抜けた選手はほとんどいなかったかと思います。流石の読みですね。
「日本一決定戦はエリアと違って殿堂フォーマットでしたが、予選期間中に散々負けたキリコはどうしても使いたくありませんでした。
ならどうするんだ、ということで思いついたのが《天使と悪魔の墳墓》。このカードを打ち込めばキリコにだって勝てるのではないかと思い、白青マーシャルへ組み込むことにしました。
カードがすべて集まったのは前日のホテル入り後でしたけど(笑)」

――日本一決定戦の様子を教えてください。
「あの時はまだ代表が8人しかいなくて、トーナメント3回戦を経て日本一が決定していました。
1回戦目の相手はキリコ。事前の予定通りに墳墓を打ち込み《超電磁マクスウェルZ》で呪文を封殺して勝利しました。

2回戦目の相手は鬼龍院刃。刃鬼のようなビッグマナの系譜に連なるデッキです。
このラウンドは初手で墳墓を2枚も引き込んでしまって苦しい手札のやりくりを強いられたのですが、なんとか2枚ともキープして両方打ち込み、白星をあげました。

ラスト、日本一をかけた戦いの相手は白黒オールイエス。これいまだにネタにされてるんですけど、”鬼面の下からサーフ”のゲームです。
江坂店に来る子たちにも言われるんですよ(笑)」

(※3分55秒付近)

――鬼面サーフ、アンラッキーハヤブサ並のインパクトがありました。
「うーん(笑)
このとき日本一になれたのは本当にうれしかったですし、今でも誇りに思っています。けれどこの時の僕はまだ、デュエルマスターズのことを分かっていなかったんです。分かっていないまま勝ってしまったんです」

――というと…?
「日本一になったところまでは良かったのですが、ここから3年ほどまったく勝てなかったんですよ。文字通り、まったくです。そんなにたくさんCSに出ていたわけじゃあないですが(笑)
この時期はつらかったですね。日本一を取ったのになぜ、とコンプレックスになってしまっていた時期もありました。まだうめさん(関西のショップ店員かつ強プレイヤー)がいらしたころですね…。

競技としてデュエルマスターズに向き合ったとき、いくつか越えなければいけない壁があるんです。でも僕はどうやって乗り越えればいいのかわからなかった。
そんな時間を乗り越えてようやく勝てたのが淀川CSでした。ハリケーンから全1マンというHNで掲載されているのが僕です(笑)
このときはチーム全員で同じデッキを使って優勝しました。そういう方法論を誰かがきちっとまとめているわけでもないタイミングで、自分たちの力でそうした考えに辿りつけたのは良かったですね」

――ずっと気になっていたのですが、このハリケーンというのはなんでしょうか。
「これ、カードショップの名前なんです。川西店のことですね。
実はこのお店、僕が2011年に権利を取ったお店なんですよ。あの最後の最後で取った時。
家から1時間ぐらいかかるんですけど、良く通った思い出の店ですね」

――お店の名前だったんですね…お店と言えばあばばばさんはカードボックス江坂店の店長として働かれていますが、なぜ店長職へ就かれたのですか?
「元々、カードゲーム全般が好きだったんです。特にTCGを通じて地域の子供たちと触れ合ったり、時には叱ったり…」

――古き良き地域の駄菓子屋的な?
「ええ。それに加えて、好きなことを仕事にしたいという気持ちも固まりつつあったんです。
もっと若いころはTCG業界で働くなんて夢にも考えませんでしたが、様々な経験を経てその結論に至りました。
大きく影響しているのは、GP1stでフロアジャッジを務めたこと。”こんなイベントが本当にできるんだ”と衝撃を受けました」

――GP1st、これまででは考えられないようなイベントでしたものね。
「それをきっかけに、最初はバイトのショップ店員募集へ応募したんです。それまで一度も経験したことがなくて、TCG業界を志望するなら一度はやっておかないとと考えて。
ところが、面接に行ってみたらなんと実は店長職の募集だったんですよ。何も準備していなかったので焦りましたが、それまでの人生やGP1stで感じたことをありのままに面接官へ伝えました。
ただ手ごたえがあったわけではなく…こりゃ、落ちたなーと思っていたら、合格との知らせが。本当にうれしかったです。

自分は高校生の頃、TCGなんて子供の遊びだし…なんてことを漠然と考えていました。けれどGPを経験したことで、”どうせ…”なんて斜に構える気持ちがなくなって。子供向けでも本気になれるんだ、なっていいんだと思えるようになりました。
実際、大人が遊びに本気になってるってすごいことですよね」

――実際に就職されてみて、どうでしたか?
「月並みな感想かもしれませんが、やっぱり可処分時間が大きく減った影響で勝率のアベレージは下がってきましたね。社会人DMプレイヤーってみんなすごい!と思いながら日々暮らしています。」

――江坂店、どんな感じのお店なんでしょう。
「今は小学生ぐらいのお客さんが多いですね。ありがたいことです。
今後は大人の方にもご来店いただきたいので、工夫して盛り上げていきたいです!」

――次に、影響を受けた人について教えてください。
「影響か…ジャッジ参加したGP2ndの際に、静岡CSの方が集まったチームに配属されたのですが、別のCSの方と一緒に仕事をするということがなかったので新鮮な体験でしたね。いい人ばかりで楽しかったですし、動きも勉強させていただきました。
プレイヤー目線で言うと、対戦させていただいた方の長所を出来るだけ取り入れるようにしています。そういう意味では、とても多くの方に影響されているのかも?」

――CSと言えば、お店のイベントとして江坂CSを主催されました。
「自分が主催という形で計画を立て、現場はのじぎくCS運営メンバーに主体となって回していただきました。
実はのじぎくCSのスタッフとは長い付き合いで…自分が日本一を取った時の権利戦で苦労したと言いましたけれど、当時の僕を苦しめたのがこののじぎくメンバーなんですよ。あの時は本当に彼らに勝てなかったですね…。
まさかその後、同じイベントで一緒に仕事をするとは夢にも思いませんでした」

――あばばばさんは主催としての活動のほかに、最近ではレアキラーズとしてイベントへ参加されていましたね。
「そうなんですよ!日本ホビー大戦の和歌山会場でレアキラーズとしてデュエマをプレイさせていただきました。
当日は奇行士(塚本樹詩氏)さんとご一緒させていただいて、貴重な経験になりました。黒フードに黒マントはちょっと暑かったですが(笑)」

――当日のイベント内容について教えてください。
「レアキラーズとしてやることは、用意されたデッキでちびっ子たちとデュエルすること。
僕のお店に来てくれるちびっ子たちは強いカードを4積みしてくるタイプなんですけれど、このイベントに来てくれた子たちの大多数はカジュアルプレイヤーでした。そんな彼らにどう楽しんでもらうか、という点に一番気を付けましたね」

――と言うと?
「当日気を付けたのは、本気を出させてあげること。
例えば相手の子が何かコンボを狙っているようなら、ギリギリ負けない程度に場を調整してコンボを出させてあげる。そうすることで、またこのイベントに行きたい!と思ってもらえればと。
レアキラーズと対戦すれば勝敗に関わらず賞品がもらえるので、試合の結果より過程が大事だと思います。
ちなみにレアキラーズ、認定ジャッジ限定のお仕事なんですよ。やってみたいな、と思う方はぜひ認定ジャッジ試験に挑戦してみてください!」

――それでは最後に、何か一言お願いします!
「社会人になって周囲の環境が変わりましたが、プレイヤーとしてこれからもまだまだ頑張ります!お店に来てくれる子たちに負けないことが目標です!」

――ありがとうございました。

 

■インタビューを終えて
僕が初めてあばばばさんとお会いしたのは、2016年3月のレコードCSの打ち上げで。
折角だしGP1stでジャッジやってた人も呼ぼうぜ、という話から004経由でお声を掛けさせていただきました。
お会いした印象は、ハキハキとしゃべる好青年。流石若くして店長職を務められるだけはあると感じました。

その後も認定ジャッジ試験に合格、レアキラーズも務めるという活躍ぶり。
カードボックス江坂店、1度行ってみなきゃいかんですね。

今後とも、あばばばさんが楽しくデュエルマスターズをプレイされることを願っています。


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