【ショップオーナーインタビュー】パタさん(ショップWINNERSオーナー)

愛知県の赤池駅前に4/23オープン予定のデュエマ専門カードショップ、WINNERS。今回インタビューさせていただいたのは、そのオーナーであるパタ(安田一成/27歳)さんです。

デュエマのみならず、D-0、夢幻、PMなど様々なゲームで好成績を収め、そして今回カードショップを開店するという彼はどのような人物なのでしょうか?

 


■経歴
*入賞歴*
公式大会:2007サムライリーグ関西 2位、2008ギャラクシーマスター関東 3位、2015GP1st ベスト32、2015デュエルマスターカップ中部 3位
他TCG:DZ日本選手権2007 2位、DZ日本選手権2009 7位、第2回夢幻全国大会 3位、プレシャスメモリーズ全国大会ベスト8

 

■インタビュー
――本日はよろしくお願いいたします。まず、デュエルマスターズはいつごろからプレイされてるんですか?
「デュエマは中学生活の終わりごろからですね。初めてTCGに触れたのは小5の時で、タイトルはMOZっていうマイナーなゲームだったんですが…ご存知ですか?」

――大貝獣物語ですよね、進藤欣也さんがミラクル進藤というキャラクターで活躍されていたのを覚えています。
「それです!最初がそのMOZで、中学に入ってから遊戯王に触れて…と言う流れですね」

――そこからデュエルマスターズへ?
「はい。当時の遊戯王はあまり大会が盛んではなくて競技志向の僕は悶々としていたんですが、なんと初めて世界大会を開催するという話が出てきて。リアルカードとゲームと2種類あったんですけれど、僕はゲームの国内予選に出たんです」

――GBAのゲームですよね。
「ええ。予選はスターチップ方式で、バトルするごとにスターチップを賭け、最終的に集めたチップの数を競うものでした。
僕は午前予選で全勝だったのですが、チップの賭け方が下手で30個しか集められず…100個集めた人が優勝しました」

――100個…
「予選は午前と午後の2回あってどちらかにしか出られなかったんですが、午後予選では200個集めた人が優勝したそうです。

デュエマに移った理由の一つは、公式大会が比較的競技寄りだという話を聞いていたからです。僕にとって、きちんとした大会が毎年開かれているというのは魅力的でした。
移った理由のもう一つは、強いプレイヤーの情報がネットに出ていたこと。遊戯王は誰が強いのかさっぱりわからなかったんですが、デュエマではネットで活動している人たちがいて、地方からもある程度状況をうかがい知ることが出来ました」

――ネッターと言われていた方々ですね。hiro(第1回DM日本一・日本一3回獲得)さんなんかは、御自分でホームページを持ってらしたと伺っています。
「そうですね、そういうところから目標となる強いプレイヤーの存在を知って、デュエマに移ろうと決心しました。ですから、第2回の全国大会の前から本格的にプレイし始めたことになります」

――人生の大半がデュエマとともにあったんですね。当時の公式大会はどんなものだったんですか?
「当時はハガキを送って抽選を待つ形式でした。僕は当選したのが広島大会ばかりでしたよ(笑)
地元の名古屋大会に出場したのは、出始めてから3年後でした。ナスサファイア全盛期でしたね。
あのころは定員も少なくて、広島なんか32人しか参加できなかったんですよ。東京でも64人だったかな。
広島の時は、てっぴーと一緒に出ていました」

――大会に出て少しずつ知り合いも増えていったと。
J-Speed(Hareruya Pros所属のMtGプロ)と出会ったのもこのころです。同じ県に住んでいながら、きちんと話したことがなくて。
あの時までは店舗大会で一度顔を合わせただけだったんですけれど、公式大会のために広島行の電車に乗ったら…なんと彼がいたんです(笑)
そこから仲良くなりました」

――すごい…世界は広いようで狭いですね。
「高校に入ってもデュエマに熱中し続けました。しかしそんな高校生活の終わりごろ、ディメンション・ゼロ(D-0)という新たなTCGが始まったんです。”日本初の賞金制TCG”が売り文句で、競技性を求めていた僕らは惹かれていきました。
僕は並行してデュエマも続けてましたけど、完全にD-0へ移住しちゃった人も多かったですね。当時のデュエマ勢からも有力なプレイヤーがたくさん流入しました」

――確か、たくろーさんが100万円を獲得してらっしゃいましたよね。
「たくろーだけじゃなく、僕やJ-speedも取ってましたよ。僕は2007年の日本選手権で2位に入って、100万円を獲得しました。
しかし何といってもD-0は生田がすごかった。1回目の全国大会で優勝したのが彼なんです。あの時はJ-speedが3位、レインボーことかずあきが4位でした。2回目の全国では平見(MtG GP名古屋2016優勝)が準優勝してましたし、今思うとビッグネームがたくさんいたゲームでしたね。
その中で自分も”メタるよりメタられろ!”と言うことに気づいてからは常に賞金獲得ラインを超えることが出来ました」

――すごい!強い方はどのゲームでも強いんですね。
「一方のデュエマだと、僕はhiro、なぐゆー(横浜CS主催・GP1stサブリーダー)、スバルの関東3人衆に憧れるばかりでしたけどね(笑)
特にhiroはすごいですよ、なんたって第1回から4回までの全国大会は皆勤です。
僕はD-0日本選手権の後に2007年のサムライリーグで準優勝したんですが、実はデュエマではその時が初入賞で…」

――そうだったんですか!?
「2007年って、唯一全国大会がなかった年なんですよ。公式大会も東京と大阪の2か所だけでした。デュエマが存続の危機にさらされてた時代です」

――不死鳥編で売り上げが急落し、続く極神編もあまり振るわなかったその翌年でしたもんね、サムライリーグ。
「あの時の予選形式は勝ち抜きでした。一列に並んで順番が来たら卓に座って対戦し、負けると並びなおし。4連勝で確か予選抜けだったと思います。
僕はその時速攻を使おうとしていたんですが、ある事情で参加できなくなったhiroが除去ガーディアンを僕に託してくれたんです。
当時の除去ガーディアンは本当に強かったんですが、情報は出回っておらず関東の強豪しか使っていませんでした。

それを貸してもらった僕はとんとん拍子に勝ち続け、準優勝!決勝の対戦相手のT山は関東勢で、彼も除去ガーディアンを使っていたので、ミラーの経験なんかなかった僕ではどうにもならなかったですね(笑)」

――競技TCGを好んだパタさんですが、MtGへ行くことは考えなかったんですか?
「考えなかったわけではなかったのですが、どうせやるならPTまで出たいと思っていました。だから、今のゲームで勝てないと思える奴がいなくなったら行こうと考えていて。
でも、どうしてもD-0で生田に勝てる気がしなかったんですよね。彼は全国大会や同規模のオープンGPと言う大会で合計5回優勝していて、生涯獲得賞金は300万円を超えてます。
D-0は年に一度、優勝賞金300万円の大会があったんです。生涯獲得賞金が300万を超えている人は皆そこで優勝した人なんですよ、彼を除いてね。本当に強いプレイヤーでした」

――そんなD-0も、2009年秋の大会を持って賞金制度が終了しました。
「大学3年の頃でしたかね…そのタイミングで、自分の進路について真剣に考えるようになりました。
就職するか、MtGプロを目指すかの二択でした」

――凄まじい二択が飛び出て来ましたね。
「真剣に悩んだんですよ?(笑)
MtGを知った時、同時に齋藤友晴晴れる屋オーナー)さんと言う方の存在も知り、強く影響を受けたんですよね。プロになりたいと思ったのは彼の影響です。

結局、何か一つのTCGで日本一を取れたらプロを目指そうと決めました。それで夢幻やポケカ、PMに参戦したんです。
結果は、夢幻が第2回全国大会で3位、ポケカが東海大会ベスト8、PMが全国ベスト8。どれも日本一には届きませんでした。
ちなみに、夢幻の第1回全国大会優勝者は蒼雷さんなんですよ」

――蒼雷さんって、公式大会のガンスリンガーで人間とは思えない連勝数を積み重ねたあの蒼雷さんですか?
「ええ、あの彼です。
結局、僕は素直に就職することにしました。MtGプロになるのは今じゃないと感じたんです。けれど、元々中学の頃から抱いていた”カードショップを開きたい”と言う夢は消えませんでした。

僕、昔は自分の夢を信じられなかったんです。教師に将来の夢を聞かれても、本屋やゲームショップの経営という濁した答えを返していました。なんていうか、TCGのポテンシャルみたいなものを信用出来てなかったんですよね。だからカードショップが夢だと断言できなかった。

でも自分が成長するにつれて、TCGの凄さを実感するようになって。それで思い切って就職面接のときに言ったんです。3-5年程度で独立したい、って。そうしたら面接官の方が、”そう言う人はいっぱいいるけど実行する人はほとんどいない。本気でやるなら応援するよ。”と言ってくれて…結局、その会社に入社を決めました。
大学を卒業するころには嫁に”将来はカードショップを開きたい”って断言できるようになっていました」

――ともすればブラック企業が騒がれがちな昨今ですが、懐の広い会社もあるんですね。
「そうですね。入社してからは3年経たないうちに現場の管理職へ昇進しました。一宮で働いてたんですが、お客さんも部下も年上ばかりでしたね」

――そしてついに今年、念願の独立を果たしました。
「DMGP1stの成功を見たことや、プライベートの事情などが絡んでこのタイミングになりました。実は去年の4月に会社へ退職の意思を伝えたのですが、強く慰留されて。結局辞めたのは今年の1月でした(笑)

入社以来大会には出ていなかったんですけれど、退職の意思を伝えてからはある程度休みもとれるようになったので、まず昨年のGP1stへ出場。でも調整時間がなかったので、会社の若い子をデュエマに誘ったんですよ。みんなすぐハマってくれました。
中でも1人、メタルギアの世界大会で優勝経験を持つ子が熱心に調整に付き合ってくれましたね。彼はe-sportsのプロにあこがれを持っていたそうで、僕の気持ちを理解してくれたんです。

その時はまだ皆には”ショップを開くので退職する”と言うことは伝えていなくて…GP1stへ行くときは同窓会と称して休みを取ったんですが、なんとデュエマに興味を持ったみんながニコニコ生放送を見てたんですよ。フィーチャーされたおかげでばれちゃいました(笑)」

――裏目に出ましたね(笑)
「GP1stの入賞によってエリア予選出場権利を頂けたので、勿論エリア予選も出場しました。
天門を選択したのですが、レッドゾーンに単マグが入るようになったせいで苦戦を強いられましたね。それでも予選を抜けましたが、今年日本一になったじゃきーさんに天門ミラーで負けてしまいました。
朝の8時から翌朝の4時まで仕事をしてそこから調整、そしてまた8時から4時まで仕事、仮眠を取ってエリア予選を迎えるという強行軍でしたよ(笑)」

――そしてパタさん、今年はジャッジに認定されました。
「自分は過去にD-0という大好きなゲームを失っているので、デュエマにはそうなってほしくないという気持ちで行動しました。
現地では昔の仲間たちと再会して、懐かしかったですね。K.BLUE(タカラトミー)を見たときは”有名になりやがって!”って思いましたけど(笑)

認定ジャッジは概要を見た瞬間からなろうと決めていたので、認定されて本当に良かったです。自分のショップ、WINNERSにはデュエルスペースを64席設ける予定なので、CSなども積極的に開いていきたいですね」

――そのWINNERS、4/23に開店ですから…あと2週間程ですね。
「構築済みの発売日と併せました。平日は13-22時、土日祝は10-22時に営業しています!年中無休の予定ですので、是非一度は皆さんからいただいた歴史的なトロフィー・盾を見にいらしてください。30以上あるので、一度には飾り切れないかも?
お問い合わせいただいている通販も、いずれはやっていこうと思っています!」

――お店も楽しみですね。これからデュエマはどうなっていくとお考えですか?
「元々子供向けのゲームですが、今はメーカーさんのおかげで大人向け施策も同時展開されるようになりました。
今は、我々選手が次の世代のことを考えるべき時期に来ていると思います。メーカーさんはこれまで子供向けの施策だけでもやってこれていたわけですから…今の状態が続くかどうかというのは僕ら次第という部分もあるんじゃないでしょうか。
野球に例えるならば、リトルリーグの少年たちがプロ野球を見て憧れ、そこを目指すような形になればいいですね。

今だと、例えばGPの生放送。あれって子供はあまり見てないと思うんですよ。だから子供でも見れるものが何かあるといいなと思いますし、僕らだって子供に見られても恥ずかしくない大人にならなきゃいけません。かっこいい姿を見せて、次の世代につながれば最高ですよね!」

――ありがとうございます。最後に一言!
「自分はデュエマを盛り上げたいと心から思ってます。一緒に頑張りましょう!」

――ありがとうございました。

 

■インタビューを終えて
僕がパタさんに初めてお会いしたのはつい先日、アカレコCSの打ち上げで。
実は僕が大型大会に出始めたのはサイキックマスターズからで、パタさんが活動を休止されたのはギャラクシーマスターが終わってから。綺麗に活動期間が分かれており、これまで互いの存在を知りませんでした。住んでいる地域も苗字も同じなんですけどね。

今回パタさんのお話を伺っていて、僕が思い出したのは晴れる屋TC設立時の川崎さんの記事です。
晴れる屋トーナメントセンターに寄せて。
ポテンシャルを信じられなかった…というくだりがまさに。GP1stが開催されてCSの数も倍以上に増えている現在、デュエマ専門店が出現するのは必然だったのかもしれません。

そんなパタさんは人望も厚く、各所から開店を祝うために盾やトロフィーが送られてきたとのこと。おそらく、デュエマの記念品が1か所にこれだけ集まるのは空前絶後のことではないでしょうか。デュエマプレイヤーなら1度は見たいものですね!
立地も名古屋の地下鉄 赤池駅から徒歩2分ほどと、遠征者でも困らない場所。Harruya ProsならぬWINNERS Pros…なんて夢も膨らみます。これからどうなっていくのか、本当に楽しみです。

カードショップWINNERSの成功を祈っています。


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