【第2回ピノキオ杯】決勝 伊吹 vs おこめ

熱戦を繰り広げる静岡CS決勝トーナメント。その隣で、刃鬼とGP2ndの1byeをかけた静かで熱い戦いが繰り広げられた。

第2回ピノキオ杯。
本戦である静岡CSのサイドイベントという位置付けだが、タカラトミーより公認CSサポートも受けた、競技性の高いイベントだ。
参加定員の128名の枠も全て埋まり、いよいよ大会が始まろうとしていた。

しかし、開幕前に少し異様な雰囲気を感じ取った。
――それは熱い想いと、焦り。
ピノキオ杯参加者は皆、静岡CSの参加者でもある。そしてまだ、静岡CSは決勝トーナメントが行われているのだ。
そう。ピノキオ杯参加者は、静岡CSを予選落ちした者なのだ。
それは敗者復活戦のような意味も持つ。この日、間違いなく最後のチャンスとなる。

今日、負けたからには理由があったのだろう。次は? 迷いは誰にでもあるはずだ。
予選後短い時間でデッキを修正する者。どのデッキを使うか決まらない者。

参加者が、短い時間の中ともに戦うと決めたのは、死の淵から這い上がる「不死ゾンビ」か、熱く燃え盛る赤いバイクか、それともこれまで共に戦ってきた刃鬼やNEXTか。
殿堂施行前最後の使用となるだろうヘルボロフやヘブンズもある。他で結果を残してきたサンマッドも捨てがたい。

真剣な表情から、リベンジに燃える熱い想いと、限られた時間の中で最善の解を探る焦りのようなものが、伝わってきた。


会場の熱気はさらに増し、ピノキオ杯が始まる。
この大会はダブルエリミネーション形式、2敗した時点で脱落というサバイバル形式だ。
1戦1戦経るごとに、無情にも参加者が減っていく。
この日最後のチャンスを逃さまいと、真剣勝負が繰り広げられた。

そして、6回戦が終わるころ、残る参加者はたった14人となっていた。
ピノキオ杯最後のラウンド、7回戦。全勝者2人が向かい合う、事実上の決勝となった。
ここでは、この熱い戦いをお届けしよう。

しっかりとした挨拶を交わし、伊吹とおこめは対戦の準備に入っていた。

どちらも、デッキをシャッフルする横に、禁断が置かれている。
しかしこの環境は、禁断が見えただけではデッキタイプがわからない。
アニメで、バサラが禁断と共に使っていたレッドゾーンが定番だが、デッドゾーンやモルトNEXTにもよく使われている。
また、禁断をフィニッシャーに据えたオールデリートデッキも多く存在する。
禁断か置かれているからとはいえ、ビートダウンかコントロールかすらわからない環境なのだ。


先攻は伊吹。
彼は静岡県東部のプレイヤーだ。
静岡CSは1-3でドロップしていたが、デッキを信じて本戦と全く同じ構築で、ここまで戦い抜いてきた。
まず、《熱き侵略 レッドゾーンZ》をマナチャージし、ターンを終了する。
これはおそらく、『レッドゾーン』デッキだろう。

後攻はおこめ。
相手が『レッドゾーン』とわかった以上、悩むことなくマナゾーンに《暴走龍 5000GT》を置く。
こちらも伊吹と同じ『レッドゾーン』のデッキだろう。同系戦だ。
彼も静岡CS予選で『レッドゾーン』を使用していた。2-3でドロップしたというが、直前に数枚デッキを入れ替えて、ピノキオ杯で勝ち進んでいる。

返しのターン、伊吹は《一撃奪取 トップギア》を召喚した。
これまで圧倒的速さで、あらゆるデッキを蹴散らしてきたように、最速バイクを繰り出す構えだ。

対するおこめは、静岡県中部のプレイヤー。
藤枝市で行われているこの大会は地元で、大会名にもなっているピノキオにもよく遊びに行くという。
静岡県勢対決となったこの戦い。負けるわけにはいかない。
しかしおこめは、またもや《暴走龍 5000GT》をマナチャージし、ターンエンド。
後攻であるが故、スピードレースで大きく差をつけられてしまった。

伊吹は《一撃奪取 トップギア》によりコスト軽減された《轟速 ザ・レッド》を召喚する。
封印が、1つ外れた。
しかし、「侵略」ができないのか、ターンエンドを宣言する。

攻撃を受けなかったおこめには、秘策があった。
デッキに2枚入っている《超轟速 レッド・エンド》だ。
《単騎連射 マグナム》を召喚する。
このマグナムが生き残れば、《超轟速 レッド・エンド》の能力を使い、《熱き侵略 レッドゾーンZ》を2回出しつつ、1ターンで禁断解放ができるのだ。
それによりシールドを2枚焼却し、Tブレイクを決めることで1ターンキル可能となる。
次のターンの伊吹のアクションが《熱き侵略 レッドゾーンZ》への侵略であれば、一発逆転の可能性が残されている。

ここで伊吹は《轟速 ザ・マッハ》を召喚する。
効果で「侵略」を手札に加えることができなかったが、《轟速 ザ・マッハ》で攻撃を宣言。
そこに彗星のごとく現れたのは、赤きLEGEND《轟く侵略 レッドゾーン》!!
一手遅れたとはいえ、やはりまだまだ前を走っているのは伊吹だったのだ。
無常にもおこめのマグナムが破壊され、《超轟速 レッド・エンド》の策が潰される。
《轟く侵略 レッドゾーン》の、Tブレイク。さらに《一撃奪取 トップギア》《轟速 ザ・レッド》も残りのシールドを狙っていた。

1枚目…。2枚目、このトリガーチェックで、おこめのシールドが光った。
閃光の守護者ホーリー》!!
伊吹の残りの攻撃を、たった1枚で止めてしまう。

ここまで長い道のりだったが、おこめもようやくバイク乗り。
まずは《轟速 ザ・ゼット》を召喚。《熱き侵略 レッドゾーンZ》、《轟く侵略 レッドゾーン》と連続侵略を決める。
《轟く侵略 レッドゾーン》を破壊し、2度のバトルで伊吹のバトルゾーンを空にした。
封印は、残り3つ。

手札がない伊吹は、引いた《轟速 ザ・レッド》を召喚し、ターンエンド。
封印は残り2つ。
これまで幾度となく逆転をもたらしてくれたという、《閃光の守護者ホーリー》を信じて待つ。

しかし、おこめはもう躊躇しなかった。
《轟速 ザ・マッハ》を召喚し、《熱き侵略 レッドゾーンZ》《轟く侵略 レッドゾーン》と侵略する。
封印が全て取れ、禁断がついに解放される。
伊吹の残りシールドは3枚。1枚目、2枚目…、3枚目…。S・トリガーは、なかった。

固く握手を交わす2人。決勝に相応しい、熱い戦いだった。


試合後、おこめがギャラリーにプレイミスを指摘される場面があった。(S・トリガーがあった場合を考えると禁断解放のタイミングが早かったのだ。)
彼は優勝したのに、悔しがっていた。これから、まだまだ強くなることだろう。
最後に、彼は私の問いにこう答えてくれた。
「これからも結果を残していけるように頑張ります!」


カテゴリ:カバレージ