By Melkiss
藤枝駅から歩いて5分ほど。藤枝市文化センターでそれは行われていた。
デュエルマスターズの非公認大会の中でも最大級の大会、静岡CSの決勝戦。
トーナメントが終わりへ近づくにつれて熱量を増すギャラリーとは対照的に、至って冷静な二人が対戦卓に坐した。
長い戦いだった。
ここまで来るのに、205人の物語が終わった。
最終幕、最後に残った2人はどのような物語を紡ぐのであろうか。
ただ一つの栄光をかけ、205名の屍を踏み越えた決闘者が激突する。
決勝
しょうがパン(赤青t白黒緑オボロ2nd/予選12位)VSすぎまつ(五色キューブブラスター/予選18位)
GAME1
しょうがパンの先行。《エメラル》でのシールド交換からゲームは始まる。
続く3ターン目、しょうがパンは《超次元エクストラ・ホール》から《イオの伝道師ガガ・パックン》を呼び出す。先手を活かしてマナブーストを遅らせる目論見だ。
そのまま《エメラル》でシールドをブレイクし、メタ・ビートダウンの動きを見せる。
すぎまつのマナには5色全て揃っていたが、しょうがパンの目論見通り《イオの伝道師ガガ・パックン》のソフトランデスが効いており、《フェアリー・ミラクル》を撃つことができずターンを終えた。
1ターンを稼ぐことが出来たしょうがパンは《海底鬼面城》を2枚プレイ。継戦能力を確保しつつ《イオの伝道師ガガ・パックン》と《エメラル》でクロックを刻む。
すぎまつはようやく《フェアリー・ミラクル》で2ブースト。この1ターンの遅れが、どう影響してくるだろうか。
サイバーロードである《エメラル》がバトルゾーンにいることで、しょうがパンは《海底鬼面城》で2枚ドローして1枚をデッキボトムに送る。これを2回行い通常ドローと合わせて5枚のドロー。《天災超邪 クロスファイア2nd》のG・0まであと1枚だ。
そして《月光電人オボロカゲロウ》をプレイし、4枚分の手札交換を行い即座にその条件を満たす。
だが肝心の《天災超邪 クロスファイア2nd》を手札に呼び込むことが出来ず、《ニンプウ・タイフーン》で更に1枚の手札交換を行ってまでも引くことが出来なかった。
だが《イオの伝道師ガガ・パックン》と《エメラル》がすぎまつのシールドを0に追い込む。
後がないすぎまつ。長考の末、《蒼狼の始祖アマテラス》で《超次元ホワイトグリーン・ホール》を唱え、シールドを手札から埋めつつマナから《反撃のサイレント・スパーク》を回収、呼び出した《勝利のプリンプリン》で《月光電人オボロカゲロウ》を止める。
しょうがパンは2枚の《海底鬼面城》のドローの後の再び《月光電人オボロカゲロウ》。
4枚の手札交換で今度こそ《天災超邪 クロスファイア2nd》をG・0で召喚。
《イオの伝道師ガガ・パックン》で仕込んだシールドをブレイク。
トリガーしたのは《反撃のサイレント・スパーク》や《支配のオラクルジュエル》などではなく《ホーガン・ブラスター》。
命運を決めるこのトリガーで表向きになったのはなんと《支配のオラクルジュエル》。
《天災超邪 クロスファイア2nd》を破壊して《月光電人オボロカゲロウ》をタップがされるこのプレイにはギャラリーも湧き、しょうがパンは思わず「マジかー」とぼやく。
辛くもこのターンを凌いだすぎまつは再び《超次元ホワイトグリーン・ホール》で《アルプスの使徒メリーアン》を呼び出し、前のターンで回収した《反撃のサイレント・スパーク》を埋め、反撃までの時間を稼ぐ。
しょうがパンは《超次元ブルーホワイト・ホール》から《勝利のプリンプリン》を呼び、こちらもシールドを追加しながらクリーチャーにアンブロッカブルを付与、《蒼狼の始祖アマテラス》を止める。
さらに《斬込隊長マサト》を召喚し、マーシャル・タッチで《月光電人オボロカゲロウ》をバウンスしていく。
《イオの伝道師ガガ・パックン》でシールドをブレイクするがこれには予定調和の《反撃のサイレント・スパーク》。
すぎまつは《セブンス・タワー》で3ブーストした後に三度の《超次元ホワイトグリーン・ホール》でシールドを加えながらマナの《反撃のサイレント・スパーク》を回収し、《勝利のプリンプリン》で《斬込隊長マサト》を止める。
そして《アルプスの使徒メリーアン》で《イオの伝道師ガガ・パックン》を、《勝利のプリンプリン》でしょうがパンの《勝利のプリンプリン》にそれぞれ相討ちさせた。
すぎまつの粘りにも折れずしょうがパンは《月光電人オボロカゲロウ》を召喚し、すぐさま《金属器の精獣 カーリ・ガネージャー》に進化。《天災超邪 クロスファイア2nd》をG・ 0させ、《金属器の精獣 カーリ・ガネージャー》でブレイクするがやはり《反撃のサイレント・スパーク》に阻まれる。
しょうがパンの攻勢をここまでいなしてきたすぎまつは《龍素記号SR スペルサイクリカ》をプレイ、墓地から唱えるのはやはり《超次元ホワイトグリーン・ホール》。
シールドを加えて《勝利のプリンプリン》で《金属器の精獣 カーリ・ガネージャー》を止める。回収した《フェアリー・ミラクル》を撃ちつつ《勝利のプリンプリン》を《天災超邪 クロスファイア2nd》に突っ込ませ、自滅させた。
しょうがパンがここでプレイするのは《龍覇 グレンモルト》。《将龍剣 ガイバーン》を装備して《蒼狼の始祖アマテラス》を破壊する。
《天災超邪 クロスファイア2nd》のブレイクで3度目の《反撃のサイレント・スパーク》がトリガーする。最後の一撃が、あまりに遠い。
10ターン目、《超次元ホワイトグリーン・ホール》で粘ってきたすぎまつはここで再び長考に入る。
数十秒の逡巡の後、すぎまつが取ったプレイは《転生プログラム》を《勝利のプリンプリン》に撃つことだった。
デッキから捲れたのは《龍素記号SR スペルサイクリカ》で、墓地から《反撃のサイレント・スパーク》を撃ち、2ドローしたのちに手札に加える。
そしてすぎまつは10枚のマナをタップする。満を持して現れたのは《勝利宣言 鬼丸「覇」》。
それはこの10ターンに及ぶ攻防を締めくくる、まさに切札と呼ぶに相応しいものだった。
《勝利宣言 鬼丸「覇」》の攻撃、ガチンコ・ジャッジには危なげなく勝利し、しょうがパンのシールドをブレイクする。
2枚目のシールドからは《超次元サプライズ・ホール》、《アルプスの使徒メリーアン》が飛び出す。
3枚目は《終末の時計 クロック》、強制的にターンが終了する。
だがこれで終わらない。《勝利宣言 鬼丸「覇」》の追加ターン、《超次元ガード・ホール》を唱え《アルプスの使徒メリーアン》を排除し、《勝利のガイアール・カイザー》を呼び出す。
再び《勝利宣言 鬼丸「覇」》の攻撃、しょうがパンのデッキから表向きになったのはコスト8の《無法のレイジクリスタル》。
そして運命のジャッジ、スギマツのデッキから表になったのは《偽りの王 ヴィルヘルム》。紙一重といっていい、薄氷の勝利。
最後の《エメラル》で埋めたシールドから《反撃のサイレント・スパーク》が唱えられるが、それは焼け石に水だった。
《勝利宣言 鬼丸「覇」》が駈けた。
しょうがパン0-1すぎまつ
GAME2
再び先手はしょうがパン。《霊騎秘法ヒャックメー》、《終末の時計クロック》とセットし《海底鬼面城》とスタート。
更に3ターン目、《海底鬼面城》でドローし、《月光電人オボロカゲロウ》をプレイ、4枚ドローし《天災超邪 クロスファイア2nd》が早くもG・0。
そのまますぎまつのシールドをWブレイク。2枚目で《ミサイルバースト・G》がトリガーし、《月光電人オボロカゲロウ》が破壊された。
すぎまつは《フェアリー・ミラクル》を唱える。1戦目のようなカウンターを狙えるだろうか。
しょうがパンは《超次元ブルーホワイト・ホール》で《イオの伝道師ガガ・パックン》を呼び出し、《天災超邪 クロスファイア2nd》でビート。《ミステリー・キューブ》がトリガーするが、これはクリーチャーが出なくマナブーストになった。
すぎまつは《蒼狼の始祖アマテラス》を召喚し、デッキから唱えるのはやはり《超次元ホワイトグリーン・ホール》。手札からシールドを加えつつ《反撃のサイレント・スパーク》をマナから回収、《勝利のプリンプリン》で《天災超邪 クロスファイア2nd》の動きを止める。
しょうがパンは《ドンドン吸い込むナウ》で《龍覇 グレンモルト》を手札に加えつつ《勝利のプリンプリン》をバウンス、《イオの伝道師ガガ・パックン》で仕込んだシールドを狙う。
トリガーしたのは《支配のオラクルジュエル》で、《天災超邪 クロスファイア2nd》が破壊される。
すぎまつは《龍仙ロマネスク》をプレイし、4ブーストで一気に10マナまで到達させる。
《蒼狼の始祖アマテラス》で《イオの伝道師ガガ・パックン》を殴り返し、しょうがパンのバトルゾーンを捌ききった。・
だがしょうがパンもこの程度では終わらない。《月光電人オボロカゲロウ》をプレイ。《海底鬼面城》のドローと合わせて《天災超邪 クロスファイア2nd》をG・0、更に《斬込隊長マサト》を召喚。マーシャル・タッチで《天災超邪 クロスファイア2nd》をバウンスしながらスピードアタッカーにし、即座に《天災超邪 クロスファイア2nd》を再びG・0させ、2体3打点を作り上げた。
《斬込隊長マサト》の攻撃は《龍仙ロマネスク》でブロックされたが、《天災超邪 クロスファイア2nd》が最後のシールドをブレイク、スギマツを追いつめる。
だがすぎまつはいなすように《超次元ホワイトグリーン・ホール》からの《勝利のプリンプリン》。シールドを増やし、《勝利宣言 鬼丸「覇」》を回収、《天災超邪 クロスファイア2nd》をストップさせる。
そして念には念を入れるとばかりに3枚目の《超次元ホワイトグリーン・ホール》を唱え、シールドを増やし《転生プログラム》を回収、《勝利のプリンプリン》で今度は《月光電人オボロカゲロウ》がストップ。
《転生プログラム》を《勝利のプリンプリン》に撃ち、現れたのは《龍素記号SR スペルサイクリカ》。墓地からこのマッチ何度目になるかわからない《超次元ホワイトグリーン・ホール》を唱え《アルプスの使徒メリーアン》を呼び出した。
ブロッカーを2体立てられ、シールドまで2枚回復され、更に自身のクリーチャーが2体とも止められてしまったしょうがパン。
だが食い下がるように、《超次元サプライズ・ホール》、《超次元エクストラ・ホール》からそれぞれ《イオの伝道師ガガ・パックン》を呼び出す。
DMの醍醐味はシールド・トリガーによる逆転であり、どんなに不利な状況でも必ず逆転する、そんな不屈のプレイだった。
すぎまつのターン、《勝利宣言鬼丸「覇」》をプレイし、アタック。ガチンコ・ジャッジは互いにコスト5、すぎまつの勝ちだ。
1枚ずつシールドを確認する。2枚目、3枚目、トリガーはない。
続いて《龍素記号SR スペルサイクリカ》のブレイク。4枚目、5枚目、全て手札に加わった。
最後の攻撃、《勝利のプリンプリン》…
「ありがとうございました」
しょうがパン0-2すぎまつ
第4回静岡CS、その最後のゲームが終わった。50分にも及ぶマッチを征し、このチャンピオンシップスの勝者となったのはすぎまつ。
《超次元ホワイトグリーン・ホール》で時間を稼ぎ、《勝利宣言 鬼丸「覇」》で締めるという今期のキューブブラスターの王道とも言える戦術でこの最終戦に勝利を飾った。
【デッキインタビュー】1位 五色キューブブラスター(すぎまつ)
2 x 偽りの王 モーツァルト
4 x 偽りの王 ヴィルヘルム
1 x 悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス
1 x 龍仙ロマネスク
2 x 支配のオラクルジュエル
2 x 超次元ガード・ホール
3 x 反撃のサイレント・スパーク
3 x 超次元ホワイトグリーン・ホール
4 x ミステリー・キューブ
4 x フェアリー・ミラクル
1 x ガチンコ・ルーレット
1 x セブンス・タワー
3 x 龍素記号Sr スペルサイクリカ
1 x 蒼狼の始祖アマテラス
1 x ホーガン・ブラスター
1 x 転生プログラム
1 x 勝利宣言 鬼丸「覇」
2 x ミサイル・バースト G
1 x 偽りの王 ナンバーナイン
1 x ガンヴィート・ブラスター
1 x 真実の王 ヴィオラ・ソナタ
1 x 時空の支配者ディアボロスZ/最凶の覚醒者デビル・ディアボロスZ
1 x 勝利のガイアール・カイザー/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン
1 x 時空の凶兵ブラック・ガンヴィート/凶刃の覚醒者ダークネス・ガンヴィート
1 x ヴォルグ・サンダー/雷獣ヴォルグ・ティーガー
2 x 勝利のプリンプリン/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン
1 x 時空の花カイマン/華獣の覚醒者アリゲーター
1 x アルプスの使徒メリーアン/豪遊!セイント・シャン・メリー
―――今日このデッキを選んだ理由はなんですか?
「江戸前CSで優勝したので、調子がいいと思って使いました。」
―――構築で特に工夫した点はありますか?
「江戸前CSのレシピと比べて、《暴走龍 5000GT》を《真実の王 ヴィオラ・ソナタ》にしました。
除去を行いながらドラゴンを蘇生できる《真実の王 ヴィオラ・ソナタ》の方がカードパワーが高いと思ったからです。」
―――ありがとうございました。
【デッキインタビュー】2位 青赤t白黒緑オボロ2nd(しょうがパン)
決勝にて惜しくも敗れ去り、2位となったしょうがパン。
彼へのインタビューは翌日に行ったため、他のプレイヤーよりも少しだけ長く話を聞くことが出来た。
2 x 金属器の精獣 カーリ・ガネージャー
4 x 天災超邪 クロスファイア2nd
4 x 霊騎秘宝ヒャックメー
1 x 無法のレイジクリスタル
1 x 反撃のサイレント・スパーク
2 x 超次元ブルーホワイト・ホール
1 x 天使と悪魔の墳墓
2 x 斬隠蒼頭龍バイケン
3 x 終末の時計 ザ・クロック
4 x 月光電人オボロカゲロウ
1 x エメラル
2 x ドンドン吸い込むナウ
1 x 超次元エクストラ・ホール
1 x スパイラル・ゲート
4 x 海底鬼面城
1 x 龍覇 グレンモルト
1 x モエル 鬼スナイパー
2 x 斬込隊長マサト
1 x ニンプウ・タイフーン
1 x 超次元サプライズ・ホール
1 x 斬雪妖精バケット・バケット
1 x 勝利のプリンプリン/唯我独尊ガイアール・オレドラゴン
2 x イオの伝道師ガガ・パックン/貪欲バリバリ・パックンガー
1 x 時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー
1 x アルプスの使徒メリーアン/豪遊!セイント・シャン・メリー
1 x ウコン・ピッピー/星龍王ガイアール・リュウセイドラゴン
1 x 銀河大剣 ガイハート/熱血星龍 ガイギンガ
1 x 将龍剣 ガイアール/猛烈将龍 ガイバーン
―――このデッキを選んだ理由はなんですか?
「使おうと思っていた《マーシャル・クイーン》のデッキが勝てなくて困っていたところ、CSの4日前にネットでオボロ2ndレシピを見つけて、3日前に組んでみて、2日前から回し始めて、昨日持ち込んでみました。」
―――このオボロ2ndというデッキタイプの強みはなんですか?
「最速で2ターン目にスピードアタッカーでWブレイカーの《天災超邪 クロスファイア2nd》を出せる点と、《月光電人オボロカゲロウ》のためにマナに5色作るために入れる《霊騎秘宝ヒャックメー》でカウンターできる点です。
また、《月光電人オボロカゲロウ》のドローのお陰で少ない枚数のメタカードを引きやすく、、5色で好きなカードを積むことが出来るため構築の自由度が高い点もあります。」
―――構築で特に工夫した点はありますか?
「《エメラル》が《海底鬼面城》のドロー枚数を増やせるのと、受けに使えるので採用したのと、ビートダウンでの《天使と悪魔の墳墓》はかなり読まれにくいので入れています。
あと、《時空の戦描ヤヌスグレンオー》は《月光電人オボロカゲロウ》からの《天災超邪 クロスファイア2nd》で合計4打点を作ることができ、《斬込隊長マサト》も《天災超邪 クロスファイア2nd》にマーシャル・タッチすることで3打点作れるので強かったです。」
―――ありがとうございました。