phalanxです。
色んな意味で話題になった【マークロループ】の解説をします。
八王子CSでは二人が使用し、どちらもベスト8
アカレコCSでは4人が使用し、ベスト64が一人、二人がベスト16
でした。
■ デッキレシピ
4 x マーシャル・クロウラー
4 x フェアリー・ギフト
3 x フォース・アゲイン
2 x 悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス
2 x エマージェンシー・タイフーン
1 x ミスティック・クリエーション
4 x サイバー・ブック
4 x 金縛の天秤
4 x フェアリー・シャワー
4 x 目的不明の作戦
1 x ポジトロン・サイン
1 x ホーガン・ブラスター
1 x 曲芸メイド・リン・ララバイ
3 x Rev.タイマン
2 x 知識の包囲網
白:1
青:29(25)
赤:2
緑:14(8)
多色:6
※()は単色の枚数を表しています。
■基本方針
アカレコCSは人数が多く、環境が混沌としていて何と当たるかが読めないため、基本の動きが安定しており、幅広く勝率を稼げるデッキタイプを使うべきだと考えていました。
マークロループは上の条件と合致していたこともあり、使用を決意しました。
マークロの効果でアゲインマークロ、ドロー呪文1枚目でアゲインとドロートリガー、2枚目でドロートリガー2枚…と繰り返していくことで、マークロ効果でトリガーを使い続けるコンボデッキです。
アゲインを唱え続けるためには同時にドロートリガーも唱え続ける必要があり、さらにコンボ起動時にはドロートリガーを2枚必要とします。マナ加速を使用しない理由としては、上記のように手札を必要とするデッキであることと、多くの枠を割く必要があるにも関わらず、ループ中に不必要なカードであるためです。マナを伸ばしても思うようにコンボが始動、続行できないのであれば、そこに枠を割く意味はありません。そのため、コンボ前からドロートリガーでデッキを回していく構築こそ、マークロループというデッキの最適化に繋がると考えました。
■ ループについて
リストを見ただけだと動きが分からない人も多いと思うので、例を交えて説明します。
例:手札にマークロ、アゲイン、ドロートリガー2枚からスタート
マークロ召喚、手札のアゲイン、ブック、作戦を仕込んでトリガー発動
→アゲインでマークロ指定、ブック(天秤作戦ギフト→ギフト戻し)、作戦ブック(天秤シャワーマークロ→マークロ戻し)
→マークロ効果で手札の作戦、天秤2、シャワーを仕込んでトリガー発動
→山札が無くなりそうなときにはエマタイで悠久を捨てデッキ回復
このような動きを繰り返し、ララバイ召喚+アゲインを唱えられるまでマナを増やして十分に手札を抱えた状態を作り、マークロの処理を一旦終了します。
ララバイを召喚しアゲインを唱えて、再びマークロの効果を使い続け、デッキを回転させていくとアゲインが余るタイミングがあるので、それを全てララバイに当ててLOを狙います。
・無限ループ
①アゲインループによるcip無限ストック
山:作戦
手札:作戦、作戦、アゲイン、金縛
場:マークロ、ララバイ
墓地:作戦、金縛
マークロでアゲイン、作戦、作戦、金縛を唱える→アゲイン(対象マークロ)、作戦:作戦アゲイン(対象好きなクリーチャー)、作戦:作戦金縛(2ドロー)、金縛(2ドロー)
※斜字部分の1サイクルでアゲインを2回打てて最初の状態に戻れるので、場にいるクリーチャーのcip効果を好きな回数ストックできます。
ララバイ効果を相手の山札の枚数分、マークロ効果を相手の山札の枚数×2回ストックします。省略が認められれば適当に100万回ずつくらいストックしておけば良いです。
②ララバイ処理
山札:作戦
手札:作戦、作戦
墓地:作戦、ミスクリ、金縛
マークロで作戦、作戦を唱える→作戦:作戦ミスクリ(回収なし)、作戦:作戦金縛(2ドロー=ミスクリと作戦)
ララバイ効果を2回使う(落ちるのは金縛、作戦)
マークロでミスクリ、作戦を唱える→ミスクリ(金縛、作戦回収)、作戦:作戦ミスクリ(回収なし)
マークロで金縛、作戦を唱える→金縛(2ドロー=ミスクリと作戦)、作戦:作戦金縛(アタック制限)
ララバイ効果を2回使う(落ちるのは金縛、作戦)
※斜字部分の1サイクルを無限に繰り返せます。1サイクル毎に相手の山を2枚削れるため勝ちを確定できます。
③ホーブラループ
比較的簡単にループに入れるので、ループを中断するより早くララバイを出せる可能性もあります。
状態A
墓地:エマタイのみ
山:6枚(ブック、アゲイン、天秤、作戦、悠久、ギフト)
手札:ホーブラ、アゲイン、エマタイ、ブック、天秤、作戦、ララバイ
アゲイン(マークロ)→ブック(ララバイ戻し)→天秤→ホーブラ
ララバイでない場合
使用しない→作戦エマタイ(1ドロー悠久捨て)→状態Bへ
ララバイの場合
バトルゾーンに出す→作戦エマタイ(0ドロー悠久捨て)→状態C
状態B
墓地:作戦のみ
山:7枚(ブック、アゲイン、天秤、ホーブラ、エマタイ、悠久、ララバイ)
手札:アゲイン、エマタイ、ブック、天秤、作戦、ギフト
手札からアゲイン(マークロ)→ブック(ギフト戻し)→天秤→エマタイ(2ドロー悠久捨て)→状態Aへ
ホーブラで山2枚の中からララバイを当てるループです。
ララバイを出した場合、一番下のカードを回収できないため、山札のカードを余分に1枚ずつ手札に持つ必要があります。
このループを応用すればアゲイン→ララバイや呪文の無限ループも行えますが、①②のループを使うことを推奨します。作戦がマナにある場合は手札のミスクリを唱え、全て回収します。
④アゲインループ移行手順
状態C
墓地:作戦のみ
山札:7枚(ブック、アゲイン、天秤、ホーブラ、エマタイ、悠久+1枚)
手札:アゲイン、エマタイ、ブック、天秤、作戦、ギフト
場:マークロ、ララバイ
ブック→天秤→作戦作戦天秤→→エマタイ(2ドローギフト捨て)→状態Dへ
状態D
墓地:作戦
山:作戦1のみ
手札:アゲイン、天秤、作戦、作戦
→①へ
○編者注
ジャッジはあるループを省略できるかの判断基準として「十分に簡潔なある効果処理1サイクルを終えた時に、同じことを行える状態であると共に勝利に繋がる変化が起きていること」を用いると良いでしょう。
今回のループでは、条件が揃ってプレイヤーがループ方法を明示できた時、「場のクリーチャーのcipを任意回数ストックする」と「ララバイで相手だけ山札から2枚マナに置く」の過程が省略可能です。
逆に、ループの省略が認められないのは「効果処理1サイクルが煩雑すぎる」「勝利手順の回数が明示できない」などの場合です。競技イベントルール「11.3 遅いプレイ」に該当します。
例えば無限にヴォルグ・サンダーを出せるループがあったとして、相手のデッキに悠久が1枚だけ入っていた場合、理論上は相手のデッキが悠久1枚になるまでヴォルグを出せば勝つことが出来ます。しかし、ヴォルグを出すべき回数が明確に指定出来ないため、「相手のデッキが悠久1枚になるまでヴォルグ効果を使う」という省略は認められません。また、勝利までの回数を明示できない行為を繰り返すことは遅延行為に当たり、時間を使いすぎていると判断すれば警告やゲームロスが与えられます。
そのため、例のような状況になったときにはヴォルグを出す側のプレイヤーが常識的な回数の範囲内でデッキアウトによる勝ちを諦め、別のプレイを取ることを求められます。
■ 採用カード
マナ加速も妨害もないデッキなので、なるべく少ない色で構築しています。
主要カードの説明は割愛します。
フェアリー・ギフト
緑を入れた理由です。
マナ加速を使用しない理由は基本方針で述べましたが、マークロは単体でコスト8と非常に重いことに変わりありません。そのため少ない枠と手札で、瞬時にマナを用意できるこのカードを採用しました。
フォース・アゲイン
コンボ以外で使用しないのはマークロと同じですが、ポジサイや作戦、盾に埋まっていれば打てるため1枚減らしました。
悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス
2枚目を採用している理由としては、1枚だと盾に落ちた、引いてしまった場合にヴォルグで負けてしまうため、長期戦に持ち込むアナデッドに対して差が出るためです。既存のループデッキにおける悠久の枚数は1枚以下であり、未知のアーキタイプであることからヴォルグを打たれることも十分考えられました。
エマージェンシー・タイフーン
コントロール相手に墓地リセットの目的で悠久を落とす役割があり、2枚目を採用しています。ドローをせずに(=0枚ドローして)墓地に1枚捨てることも可能です。
ミスティック・クリエーション
コンボ中や中盤以降はドロー呪文としての役割を持つため、既存のループデッキのマナ回収よりも役割は多いです。
2枚目の採用も考えましたが、包囲網を採用したことによりドロー呪文は十分であると判断しました。
ポジトロン・サイン
ホーガン・ブラスター
ドロートリガーはもちろん、これのカードの強みは各状況で
ループ中:アゲイン、ミスクリ
相手ターン:シャワー、防御トリガー
を使える点にあります。
ホーブラはポジサイと違ってランダムなので、本来必要なカードではありません。その上で採用している理由は、フィニッシャーを緑単色にできるメリットがそれほど大きいためです。
相手が《百発人形マグナム》、《停滞の影 タイム・トリッパー》などをコントロールしていてマークロ処理を中断出来ないときにも、山札を調整しホーブラを何度も撃ちララバイを出すことでループを成立させられます。
Rev.タイマン
受けトリガーが天秤だけでは安定して踏ませることはできません。そのため追加の受けトリガーとして採用しました。自分ターンに使っても相手の攻撃を止められる点で、他の緑トリガーより優れています。
マナロ、シャッフなどの攻撃時に効果が発動するクリーチャーや、ビート相手にも手札から使用する場面が多いため、3枚は必要であると判断しました。緑マナとしても優秀なため、腐ることは基本的にありません。
知識の包囲網
アナデッドに負けるケースとして、ガロホでサイコを使い回されて手札の総数が増えず、先に場を整えられる、というものがあります。ハンデスを多用するデッキ相手に、一度にドローできるカードが必要だと判断しました。
作戦と抱えることでハンデス耐性と高コストの確保が行うこともできるため、作戦との相性は非常にいいです。
このカードは1枚見えれば作戦で墓地から唱えられる点で、他の大量ドローとは一線を画しています。
■ 候補カード
超次元ごっつぁん・ホール
当初は1枚で勝てるごっつぁんホールを採用していましたが、ホーブラを採用したことでトリッパーを無視してクリーチャーを場に出すことができるようになったため、緑単色で確実に倒せるララバイに変更しました。
他の枠を自由に使える利点はあるため、結論が出なかったというのが本音です。
フェアリー・ライフ
手札を十分に確保できるのであれば、マナ加速は強いです。特にトリガーを持つこのカードは強力で、5枚目のシャワーとして1~2枚採用していましたが、あくまで5枚目の役割なのでホーブラと入れ替えました。
3枠以上採用する場合はマナ回収を追加で1枚採る必要があり、ブーストなしで勝つ方が有効であると判断しました。
クリスタル・メモリー
ドロートリガーとしては弱い部類ですが、重要なのはループまでにエナホやギフト、ハヤブサマルを加えることができる点で、十分に枠を作れるのであれば採用したいカードではあります。
■ 立ち回り
基本的には
「ドロー呪文を使って手札を整え、マークロを出す」
これだけです。重要になってくるのはマークロを出すタイミングで、ハンドキープを変えつつ、コンボを始動する機会をうかがいます。
・レッドゾーン、ベアフガン
ドロートリガーは全部埋めてギフト、マークロを出す事だけを意識します。
・デッドゾーン、ハンデス
ドロー呪文のみ抱えて手札枚数を保つことを意識します。
・モルネク
緑とマークロを抱え、適度にマナを伸ばします。ドロー呪文も1回は使いますが、シャワーは最優先で使います。
タイマンは抱えてマナロに合わせて使うため、色を作る目的もあり緑は抱えることが多いです。
・サンマッド
青単か単色が各2枚以上あるマナを作り、極力マナロを出されないようにします。基本的にはモルネクと同じです。
早い段階でマナロ+リュウセイの盤面を作れるデッキであることと、盾4からモルト→サンマッドで防御トリガーも封じられてしまうため、構築が割れた今は勝てないと思います。
■終わりに
作戦やドロートリガーの枚数も増えたので、試しに組んでみました。
初見のループは運営も困るので、説明できるようにした上で使いましょう!
■紹介
HN:phalanx
【主な戦績】
おやつCS2014 summer festival関東大会 準優勝
おやつCS2013 Summer Festivsl関東大会 3位
神奈川在住のデュエルマスターズプレイヤー。
ループデッキの雄として名を馳せ、数多くの対戦相手を泣かせてきた。
代表作にジャスティスループ、『ホワイト・TENMTH・カイザー』コントロールがある。
今回の問題作、マークロループはひとたびループに入ると圧倒的なアクション量で観衆を集め、ジャッジを戦慄させた。GP2ndでも新たなループを披露してくれるのだろうか?