【コラム】シールド・トリガーとの上手な付き合い方

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ビートダウンデッキ、ないし速攻デッキを使って勝つ上で最も障害になる要素、「シールド・トリガー」。今回はその「シールド・トリガー」についてビートダウン視点から考察します。

DMR-16極「超戦ガイネクスト×極」がリリースされた時点で、デュエルマスターズには430種類のシールド・トリガーの能力を持つカードが存在します。(《極楽!オンセン・ガロウズ》や《旋風のサトリ フリース》など特定の条件付きでシールド・トリガー能力が付与されるものも含めると、もう少し多いですが)
その中で、対戦環境における重要なシールドトリガーは「単体除去」「複数除去」「マナ加速」「攻撃終了」「大型踏み倒し」の5つに分類できます。

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「単体除去」
例)《デーモン・ハンド》《ドンドン吸い込むナウ》《地獄門 デス・ゲート》

対象を1体選んでそれをバトルゾーンから離すタイプのシールド・トリガー。
ここ最近の大会入賞デッキに採用されるシールド・トリガーは単体除去だけに飽き足らず、追加効果を持っているものが多いです。自ターンに唱えても効力を発揮するためには効果が多いと便利ですからね。例として挙げた《ドンドン吸い込むナウ》は擬似サーチがあり、《地獄門 デス・ゲート》には限定的ながらも蘇生効果が付与されています。

踏んでしまうと、場の頭数が1つ減ります。攻撃可能な生物を選ばれた場合にはテンポを失ってしまうでしょう。なのでこれを意識する場合は失いたくないものから横にするべきでしょう。

「複数除去」
例)《地獄スクラッパー》《英雄奥義 バーニング銀河》《魔狼月下城の咆哮》

対象が複数に渡り、それを取り除くタイプのシールド・トリガーです。
除去以外の追加効果はない代わりに、シールド・トリガーとして発動されたときの場に対する影響が単体除去よりも大きく、負けにつながりやすいです。

「マナ加速」
例)《フェアリー・ライフ》《フェアリー・シャワー》《グローリー・スノー》

これらは盤面に対して一切の影響を及ぼしませんが、マナが増えることによって相手の行動を強力なものにします。

「攻撃終了」
例)《ホーリー・スパーク》《終末の時計 ザ・クロック》《調和と反映の罠》

クリーチャーの除去ではなく、攻撃そのものを終了させる事で確実にターンを伸ばすタイプのトリガーです。場はいいからとりあえずターンだけ欲しい、という状況下で大きな効力を発揮します。

「大型踏み倒し」
例)《ヘブンズ・ゲート》《ミステリー・キューブ》《ホーガン・ブラスター》

大型生物が突然降ってくる例のアレですね。筆者は軽くトラウマになっています:( 前者は手札が整っている必要があり、後者は不確定要素こそあれど、いずれも膨大なアドバンテージが発生しゲームを決定づけます。

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こういった様々なシールド・トリガーがゲームに存在する中で、ビートダウン側が勝つために目指すべき事とは何でしょうか?

①「自分が行動しなければならないターンをより少なくする」
②「相手の持つ猶予ターンの中でより強い行動をされないようにする」

筆者は目標としてこの2つを挙げます。

目標①「自分が行動しなければならないターンをより少なくする」を達成するためには、自分の攻撃可能なクリーチャーをより多く、長い間場に残す事が大事になります。それを目指すことで場にある打点が多い状態を保てるので、よりターン数で試合を終わらせることにつながります。
この点から、「単体除去」「複数除去」はなるべく後半に踏んだほうがいいという事が言えます。早い段階でそれらを浴びてしまうと、破壊ならそもそも一方的に損をしたまま戻ってきません。バウンス(手札に戻す)されたとしても再度召喚し直すのにはマナコストがかかります。結果、自分のやりたい行動が遅れてしまっているのですね。

逆に、「攻撃終了」はなるべく前半、それも既に攻撃可能なクリーチャーがいない状態で踏んでおく方が良いでしょう。この種のトリガーは確実に1ターンを相手へ渡してしまうので、前半のうちにこれを消費させられればビートダウン側にとって有利になります。

そして目標②「相手の持つ猶予ターンの中でより強い行動をされないようにする」についても考えましょう。プレイヤーが使う言葉の中に「溜める」「待つ」という、攻撃できる状態にはあるけど敢えて攻撃しない状況を表すものがあります。これは多くの場合「マナ加速」に対する意識なのですね。

シールドをブレイクすると相手の手札が増えて、相手が有利になってしまいます。しかし、実際の相手の行動の質というのはマナの数によって決まります。手札がたくさんあってもマナが足りなくて使えなければ意味がありません。よって既に打点に余裕がある状況下では「溜める」事は非常に有効です。同じ猶予ターン内ならば、より相手のリソースが少ないほうがいい。この点から「マナ加速」はなるべく後半に踏んだほうがいいという事が言えます。

「溜める」という行動が有効とされるのは

「マナ加速」「単体除去」が予想される場合、このターンに踏むとそれが負け筋になる
②1ターン待った状態で「単体除去」を踏んでも相手の猶予ターン数が増えない
③このルートを通った場合「ターン終了」が裏目に出るがそれを考慮しない

という状況であることがわかります。一例を挙げて説明します。

例)
自分の使用デッキ:黒緑速攻(先攻)
相手の使用デッキ:白ビッグマナ(後攻)

自分

場:《緊縛の影 バインド・シャドウ》《スナイプ・モスキート》《孤独の影 ロンリー・ウォーカー》《停滞の影タイム・トリッパー》←今出した
マナ:3【《冒険妖精ポレゴン》《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》《死神術士デスマーチ》】

このターン中に攻撃可能なのは
《緊縛の影 バインド・シャドウ》
《スナイプ・モスキート》
《孤独の影 ロンリー・ウォーカー》の3体、

相手

場:なし マナ:3 【《超次元ホワイトグリーン・ホール》《ピクシー・ライフ》《ドンドン吸い込むナウ》】盾:4 手札:5

白ビッグマナ側のポピュラーなシールドトリガーは
「マナ加速」(《フェアリー・ライフ》、《フェアリー・シャワー》)
「単体除去」
(《ドンドン吸い込むナウ》、《光牙忍ハヤブサマル》)
「攻撃終了」
(《反撃のサイレント・スパーク》)
の3種類 ※《アポカリプス・デイ》もありましたが今回は有効ではないですね。

速攻側からすると
・《ドンドン吸い込むナウ》《光牙忍ハヤブサマル》は合わせて5枚あるので、1枚踏んでも負けないようにしたい
・《停滞の影タイム・トリッパー》はなんとしてでも場に留めておきたい
・《反撃のサイレント・スパーク》は仮にあっても2枚程度であるが、もしあるとしたら早めに踏んでおきたい
・白と緑と青が既にマナに揃っているのであと1マナでも増えてしまうと負け筋である《ノーブル・エンフォーサー》《超次元ホワイトグリーン・ホール》がプレイされてしまう危険性がある

といったいくつかの考えが頭に浮かびます。
残りのシールドは4枚。1体は攻撃しなければシールドが減らず猶予ターンを詰めることが出来ません。今回は後続を確保できる《スナイプ・モスキート》で《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》を回収しシールドをブレイク、これは《永遠のリュウセイ・カイザー》でした。残りのシールドは3枚、攻撃可能なのは《緊縛の影 バインド・シャドウ》《孤独の影 ロンリー・ウォーカー》 行くべきでしょうか?

答えはNO、です。モスキートが通った時点で最大8枚存在しているであろう「マナ加速」は有効なトリガーではなくなりました。次のターン、《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》を送り出して残りの3枚の中に「マナ加速」《ドンドン吸い込むナウ》《光牙忍ハヤブサマル》があったとしても勝ちです。

「溜める」事で相手の有効トリガーを減らし、より少ないターンで勝つ事のできる一例でした。

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この例では「ターン終了」系統のトリガーを一切考慮していません。こちらの方が多いと予想される相手の場合、「溜める」事は悪手になりやすいのです。その場合は、恐れずにガンガンいきましょう。

ちなみに、猶予ターンを一気に詰める最高の方法は「相手を妨害しながら(相手に強い行動をされない)、ワンショットキルを目指す(増えた手札を使うタイミングを相手に与えないため、やっぱり相手に強い行動をされない)」ことです。

そうです、《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》を4枚擁する【シューゲイザーワンショット】が以前の環境で大暴れした要因の最たるものです。いわゆるワンショットキル、初めてアタックしたターン中の勝利はビートダウンを達成する上で積極的に目指しましょう。現在なら【サソリスビートダウン】の即時4打点がそれに近いと思いますし、【イメンマジシャンループ】がボアロパゴス擁立後に1ターン相手に渡した上で行うのも結局同じことです。

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今まで触れてこなかった「大型踏み倒し」に関してですが、これはカードの効果による妨害以外ではケアしづらいです。《早撃人形マグナム》《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》等にお呼びがかかる事でしょうか。後半の方がましな事が多い、という程度。きっちり大型を踏み倒された場合、大体負けます。だからこそ今までずっと強かったのですね。

みなさんの中にはビートダウンという勝ち方に対する信頼性が薄い、という方もおられると思います。それは無理もないことです。《ミラクルとミステリーの扉》《ホーガン・ブラスター》《ミステリー・キューブ》というカード群、及びそれらを利用したデッキに対して普通のカードだけでダイレクトアタックを狙うことは非常に難しいです。また踏み倒しカードの不確定性による抜け道があったとしても、選択肢が多すぎて正しい行動が取りづらいんですね。

でも今は違う!《ミステリー・キューブ》は規制されました。出会うことは少ないはずです。今後メタゲームに上がってくるであろう《ヘブンズ・ゲート》も手札が満ちていないと発動できない、という弱点があります。その上使用者側はコントロールデッキをどうするか、というデッキそのものの課題がありそこをクリアせねばならない、という状態です。ビートダウンというデッキタイプは、今後のメタゲームでの活躍がますます期待されます!

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以上になります。現在のカードプール、規制前の【キューブブラスター】に辟易していた人にとっては久しぶりに嬉しい環境なのでは?(ちなみに筆者は規制前も今も【キューブブラスター】を組んでいますし、別段嫌いというわけではないです、むしろ今は好きなくらい!)
そしてそれらの不確定要素が少し減ったことでよりゲームや環境に対する理解全般が高い人が勝ちやすくなった、と感じています。

とは言っても同じカードなので、今まで通り必勝も必敗もないのですけれどね: )
ただ、シールド・トリガーとの付き合い方が上手な人がゲームを楽しく遊べるよ、ということははっきり言えると思っています。

 


カテゴリ:ゲームストラテジー