「PULUさん、憧れてました」
宮城からやってきたハザールが言うと、PULUはいつものように謙遜する。
「いや、僕はそんな大したことないですよ」
およそ8年前、GMにて日本一となったPULU。日本一のタイトルを獲得した選手の多くがデュエルマスターズから離れる中、彼は競技プレイヤーとして第一線に立ち続けている。
結果、おやつのじかんの動画や、自身のブログ「PULU NOTE」を通じ、遠く離れた東北の地にすらその名を轟かせていた。
だから、PULUが賛辞を受けることは珍しくない。
“憧れていた”、”尊敬しています”。
幾度となく称えられ。
“そんな、大したことないですよ”。
幾度となく謙遜してきた。
驕らぬ性格。かつて日本一となり、今でもランキング上位を走る確かな強さ。8年を経てなお彼は不変で、他の選手を魅了する。
中部の英雄である彼に、僕らは今も憧れる。
Game1(先攻:PULU)
《禁断~封印されしX~》に封印をつけるPULUと、《FORBIDDEN STAR~世界最後の日~》に封印をつけるハザール。
PULUは2ターン目、《ダーク・ライフ》を唱えて《爆砕面 ジョニーウォーカー》をマナへ、《暗黒鎧 ヴェイダー》を墓地へ置く。彼が今日選んだデッキは何だろうか。
一方のハザールは《虹彩奪取 ブラッドギア》をバトルゾーンへ送り出すが、PULUの《爆ジョニーウォーカー》で破壊された。
次のターン、ハザールは《復讐 ギャロウズ》を召喚。その次のターンも《終断γ ドルブロ》を召喚し、《FORBIDDEN STAR》の封印を残り2とする。
PULUは《Mの悪魔龍 リンネビーナス》を召喚。墓地から《ヴェイダー》を呼び出して手札を増やした。しかしハザールの召喚した《S級不死 デッドゾーン》によって《リンネビーナス》は破壊され、封印も残り1。
ゲーム開始からいくばくも経たぬ内に、PULUの残り時間が削られていく。
PULUは3枚の手札を見て考え、《リンネビーナス》を追加で召喚。前のターンと同じく《ヴェイダー》を場に出し、更に手札を増やす。
だがハザールが召喚した《イーヴィル・ヒート》によって、最後の封印が解かれた。姿を現す《終焉の禁断 ドルマゲドンX》。
対抗するカードは、PULUには残っていなかった。
PULU 0 – 1 ハザール
前回大会の優勝者であるラスゴは東北の出身だった。彼と同じく東北から来たハザールが使うのは黒赤デッドゾーン。同じ地域の古豪、あーとともに調整したデッキだ。
ハザールが最初にCSで入賞したのは2015年5月3日、第5回静岡CSでのこと。以来、彼は仙台CSでの2度の優勝を含む戦績を積み重ねてきた。
前回、そして今回も参加資格を持ちながら来ることが出来なかったあーの思いを胸に。
“憧れ”を超えるため、彼は2ゲーム目を始める。
Game2(先攻:PULU)
PULUは先攻を選んだが、先に動いたのはハザールだった。
2ターン目に《虹彩奪取 ブラッドギア》。
3ターン目に《復讐 ギャロウズ》。
4ターン目に《復讐 ブラックサイコ》。
流れるように封印を2枚減らすハザール。PULUの手札は2枚に落ち込む。
5ターン目、初めて動いたPULUは《イーヴィル・ヒート》を召喚。墓地の《イーヴィル・ヒート》を手札へ戻す。
返しのターン、ハザールも全く同じ行動をとる。《FORBIDDEN STAR》の封印は残り1。1ターンずつ着実に《ドルマゲドンX》が迫る。
PULUは《ダーク・ライフ》を唱え、更に《イーヴィル・ヒート》を召喚。
けれど、それ以上のアクションはない。
前ゲームと同じく、ハザールの《イーヴィル・ヒート》によって最後の封印が解かれた。PULUのシールドからは《青寂の精霊龍 カーネル》が飛び出たものの、ゲームの結果は変わらなかった。
PULU 0 – 2 ハザール
結局、PULUが選んだデッキは何だったのか。
「ドギラゴン剣ですよ」
PULUはそう答えた。2ゲームを通して1枚も《ドギラゴン剣》が見えない不運に見舞われていたのだ。
彼が今日使ったのは、盟友・常連客Tの手による5Cドギラゴン剣。ジョバンニ相手のリソース勝負を制するべく《ヴェイダー》を投入していた。
GP2ndでジャッジリーダーを務めたうつな人や今日のヘッドジャッジを務めるパタなど、様々な友人に援助されて日本一を獲得したPULU。彼は今日も、盟友とともに戦っている。
負けたからと言って、ここで終わりではない。PULUは立ち上がり、次のマッチへ赴いた。