【DUEL MASTERS GRAND PRIX 2】チーム戦/ファイナル ガリガリ君 VS ♦斎藤

 

2日間にわたって開催された永きお祭り、DMGP2もいよいよこのラウンドを持って終了となる。

ここで筆者の拙い文章力を補う意味も含め、情報補完としてベスト8に挙がった8チーム24名の使用デッキ分布を紹介、考察を挟みたいと思う。

 

 

ドラゴンビッグマナx5

刃鬼x5

イメンループx3

ヘブンズx3

サソリスモルトx2

墓地ソースx2

ギフトMAS

デアリ次元

ドロマー次元

墓地モルト

 

最も多かったのは刃鬼も含めたビッグマナ。合計10人の使用者となった。

【ドラゴンビッグマナ】と言うのはいわゆる「戦慄」と呼ばれるベートーベンを軸としていたり、ヴィルヘルムが搭載されていたりと多岐に渡るので、ひとまず一括りにさせていただいた。

強力なドラゴンでゲームの制圧にかかるデッキで、最近までは【キューブブラスター】がその役割を担っていたが、最新の殿堂入りによりさらに弱体したため、再び堅実なビッグマナにフォーカスがあたったと言っていいだろう。

第2勢力が【イメンループ】と【ヘブンズ】。

どちらもドラゴン・サーガによって登場、または強化されたデッキで、早いデッキから遅いデッキまで広く見れるため、かなり手堅い選択だと言える。とくにイメンループは始動ターンを考えるとビッグマナに対してマウントを取りやすく、この環境下では大活躍だったと言える。それは優勝チームにイメンループが2人いた結果からも明らかだ。

ここまで見ると環境は中速以降のデッキが中心となってるように見えるかもしれないが、環境は決して遅くなったわけではない。

最近の自然単の流行からさらに進化した【自然t火サソリス】は、現在最もエッジの利いたビートダウンである事に間違いない。6マナ溜まった所から突然襲来する3~4打点は、ほとんどのデッキで耐えきるのが困難である。

このハイブリッドビートダウンは、ここまで6~7年の歴史を持った由緒ある速攻、【黒緑速攻】を頂点から引きずりおろすほどに至ったと思われる。今後のメタゲームは、このスピード、打撃力に対応できるか否かがひとつの基準になるだろう。

そしてE3初期に大流行した【墓地ソース】も強力な4マナ圏の進化クリーチャーを搭載した形で健在。アウトレイジの二柱であるクロスファイアと5000GTの突破力は他の速攻を大きくけん制し、遅いデッキに対しても予想外の打点を作り上げる事に貢献している。以前からすると使用者の母数はそこそこになったものの、非常にテクニカルなデッキとなっている。

ソリューション枠として上位から紹介できるのは【ギフトMAS】になるだろうか。その一風変わったリストは運営陣を唸らせていた。新しいトレンドやまだまだフルに活躍できていないカードもあるはずなので、こうしたなかでも新しい挑戦をし続けるプレイヤーの活躍に期待したいところである。

 


 

と、長くなってしまったがこんな感じでつらづらと書いてみた。参考になれば幸い、というところで本題となる。

決勝戦のカバレージに移ろう。

正直、これから解説する試合はミラクルの連発で筆者の中でも史上最大級となるゲームだ。一旦一息ついてから読んでみるのも、悪くはないかもしれない。

準決勝と変わった戦況をお届けするために、クローズアップされるのはC卓のマッチングとなる。

超次元ゾーンの公開もあり、お互いのデッキが分かっている様子の◆斉藤とガリガリ君。

上でも書いたように、始動ターンがそこそこ早いイメンループはヘブンズなどの遅いデッキに絶対的に相性がいい。始まる前から苦笑いのガリガリ君。

相性差を覆し、一矢報いることはできるのだろうか。そして最終ラウンドの1本目が始まる。

 

◆斉藤(イメンボアロループ)/チーム:目指せ60キロ

VS

ガリガリ君(光単ヘブンズ)/チーム:発富士勢

 


 

Game1

先攻は◆斉藤。お互いに4ターン目を過ぎてもアクションなしと静がな立ち上がりを見せていく。第5ターン目にて、◆斉藤が《飛散する斧 プロメテウス》を召喚、マナと手札を貯え、次のターンに出るのであろう《龍覇 イメン=ブーゴ》に備える。返すガリガリ君、5ターン目もアクションはなし。第6ターン目、◆斉藤の決定打、イメンブーゴが登場し、《邪帝斧 ボアロアックス》が装備され、マナゾーンからクリーチャーが呼び出される。

呼び出されたのは《電流戦攻セブ・アルゴル》、能力でさらに超次元ゾーンから《エイリアン・ファーザー<1曲いかが?>》がバトルゾーンへ。こうする事でバトルゾーンに3体のクリーチャーが追加され、合計マナコストが21になる事でボアロアックスが《邪帝遺跡 ボアロパゴス》に龍解。ループギミックの始動に王手をかける。

 

返しのターン、ガリガリ君も待ち侘びたかのように《ヘブンズ・ゲート》を発動。

 

トーナメントではすっかりおなじみとなった《奇跡の精霊ミルザム》+《音感の精霊龍 エメラルーダ》コンボから、さらに《ドラゴンズ・サイン》をプレイ、《真・龍覇ヘブンズロージア》が登場する。ガリガリ君は長考の結果、フォートレスではなく《不滅槍 パーフェクト》を装備し、ターンを終了。

続く第7ターン目、◆斉藤は2体目のイメン=ブーゴをプレイ。このイメンに装備されたボアロアックスの能力により、呼び出されたのはループの肝となる《鎧亜戦隊 ディス・マジシャン》。全てのマナを多色化する事であらゆるスペースチャージが発動するため、《霞み妖精ジャスミン》を起爆剤に《邪帝遺跡ボアロパゴス》を組み合わせれば、デッキを掘り進みつつ、ほぼすべての5マナ以下のクリーチャーが呼び出す事が可能。ガリガリ君側で考えるなら、クリーチャーをマナ送りにする《霊騎ラグマール》を見越してのパーフェクト装備は正解だったと言える。

しかし◆斉藤はそれらのカードを含めて、ループパーツを全て持っている。ここから詰めの部分まで、ソリティア一直線となる。読者の方々はすでにご存じかと思われるが、ゲームの決め手は自軍を全てスピードアタッカーにする《爆轟 マッカラン・ファイン》《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》、そしてS・トリガーを使えなくする《無双恐皇ガラムタ》を絡めた総攻撃でゲームを決めるというもの。マナ回収もあるのでゲームは一方的になるかと思われていたのだが・・・

 

◆斉藤のループが延々と続き、ついにはデッキの底も見えてきたかというところで、異変が起こる。

《ドンドン吸い込むナウ》でデッキを1周させたが、フィニッシュとなるガラムタが見つからないのだ。

 

不測のトラブルに見舞われた◆斉藤だが、一旦ここで整理をする。

確かに、光単相手にトリガーを封印せずに攻撃を仕掛けるのはいささか不安が残るが、対するガリガリ君のシールドは5枚、シールド・セイバーを内包するヘブンズロージアを含めてもクリーチャーは3体、ブロッカーは2体、対する◆斉藤はこの段階で20打点を超えたクリーチャーを従えている。

ループで可能な限りのクリーチャーを並べ、ダメ押しのキリュー・ジルヴェスを追加しスレイヤーを付与しつつ、イメン=ブーゴで攻撃に向かう。

すると、ここでガリガリ君のシールドから現れたのは《星龍の記憶》。残りシールドがS・トリガーになる上、W・ブレイカーによりいやでももう1枚ブレイクしなければならない。

と不安が脳裏をよぎりつつ、斉藤は恐る恐る選んだシールドから現れたのは・・・

 

《栄光の翼 バロンアルデ》。

マナ差のビハインドにより、ガリガリ君のマナが1枚追加される。

◆斉藤は些細な変化に安堵し、2体目のイメン=ブーゴで攻撃を宣言。

しかしここで、またしても異変が起こる。

 

シールドから現われたのは《護英雄 シールド・レイユ》、マナ武装7でクリーチャーを2体シールドに送るというもの。

なんとガリガリ君は先のバロンアルデの能力により、マナが7つになっていたため、効果が発動。キリューとファーザーが盤面から退場する。

ここまでかみ合った神憑りなトリガーの発動に、誰もが驚きを隠せない中、次にブレイクシールドから発動したのは・・・

 

なんと、2体目の《護英雄 シールド・レイユ》。

 

ここでさらに2体のアタッカーがシールドへと姿を消す。

絶対的な相性を覆しかねないトリガーの連続、そして次々と現れる光のクリーチャー。

攻撃可能なクリーチャーの増加は返しのターンによる反撃による即死の可能性も裏付けていた。

しかも残る1枚のシールドは先ほどエメラルーダによって仕掛けられた1枚。このまま攻撃を続行するにはあまりにも分が悪い。

幸い◆斉藤のデッキは残り2枚。相手の手札は一切増えていない。次のターンにもう1度総攻撃を仕掛けるプランを構える。こうして◆斉藤は2枚目のボアロパゴスを龍解。ターンを渡す。

長い◆斉藤のターンから生還したガリガリ君。手札からプレイされたのはエメラルーダ。

そしてシールドから出たのは・・・ヘブンズゲート。そのまま《聖鐘の翼 ティグヌス》と《提督の精霊龍 ボンソワール》が現れる。そしてガリガリ君はターン終了時に、ヘブンズロージアに装備されていたパーフェクトを《天命王 エバーラスト》に龍解させ、総勢9体のブロッカーで構える。

 

続く◆斉藤のターン、デッキは残り1枚。いわゆる最終ターンとなる。

不測の事態に見舞われた◆斉藤にも明らかな動揺が見える。

その証拠に、うかつにターンをはじめたせいで条件を満たしたボアロパゴスの龍解を飛ばしてしまったのだ。3D龍解は全て任意で選択できるため、巻き戻しは発生しない。

とはいえ、自軍は総勢17体のアタッカーがいる。しっかりW・ブレイカーをあてていけば、間に合う計算。そして、戦争が始まった。チャンプアタックにより次々と消えていく◆斉藤のクリーチャーたち、しかし、それ以上にヘブンズロージアのシールド・セイバーによってガリガリ君のクリーチャーがみるみるうちに減っていく。やがてヘブンズロージア自身が場を離れ、最後のシールドがブレイクされる。現れたのは・・・・

 

《ドラゴンズ・サイン》。

 

ヘブンズロージアがブロッカーとなって降り立ち、超次元ゾーンから《龍魂教会 ホワイティ》を呼び出す事で、◆斉藤の最後のアタッカーを沈黙させた。

ここで◆斉藤は投了。

 

本来、無双恐皇ガラムタがいれば一瞬で決着が付いた試合だったかもしれない。

2体の《我臥牙 ヴェロキボアロス》が加われば、勝った試合だったかもしれない。

 

それでもをヘブンズ・ゲートがイメンループを下した。その結果だけが事実である。

◆斉藤 0-1 ガリガリ君

 


2本目までのしばしのブレイクタイム。

たった今の試合に対して2人の議論と考察が交わされる。その片隅で、あまりに感動した筆者は、この感動を再確認すべく、自身の頭上にある撮影カメラに目を向ける。

しかし、神の悪戯なのか、カメラは動きを見せていない。つまりその、動画の撮影がされていない状態だったのだ。

 

プレイミスの連発と自分を責める◆斉藤の表情に笑顔が灯り、再びできるかわからないようなハイパープレイを魅せたガリガリ君は落胆のあまり、机に伏せる。

 

予想外の出来事で総じてメンタルに平等性を与える形となったが、ゲームは次の試合へと移る。


 

Game2

先攻はふたたび◆斎藤。先ほどの雪辱を晴らすべく、《フェアリー・ライフ》→吸い込むナウ→プロメテウス→イメン>ボアロ>アルゴル>ファーザーと完璧な立ち回りを見せ、先ほどの不覚を取った面影を全く残さない力強いプレイングを見せる。

 

だがしかし、九死に一生とも言えるチャンスを掴んだガリガリ君はこの勝機を逃さない。

後攻を活かしたバロンアルデからエメラルーダに繋ぎ、自然と発動する星龍の記憶。

これにより、◆斉藤のボアロパゴスが龍解した返しには10体の光クリーチャーと《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》。ターンの終わりに、さらに追加されるミルザムとシールド。

 

返しのターン、◆斉藤はキーパーツを集めきれず、ループを起こせないままターンを渡す。

 

そして、ターンのはじめにヘブンズ・ヘブンが《天命賛歌 ネバーラスト》に龍解。◆斉藤の呪文を封殺し、一斉攻撃で決着がつく。誰も予想しえなかった、8:2か9:1の相性を覆す結果となった。

 

◆斉藤 0-2 ガリガリ君

チームスコア:2-1

 


筆者自身も十数年デュエマを遊んできたが、これほどのミラクルプレイは見たことがない。

その日勝つ者は勝つべくして勝つ、神が宿るとでもいうのだろうか、そんな体感を覚える事がある。

トーナメントシーンで活躍したいプレイヤーは日々精進し、ぜひともその至福の瞬間を味わってほしいと思う。もし、環境毎に終わりとはじまりを表すならば、戦いはまだまだはじまったばかりである。

この後も続々とおこなわれるCSを充分に楽しんでいただけたなら、それは運営陣にとって最大の喜びだろう。

カバレージライター:@K.BLUE


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