[第4回DM静岡CS/団体戦]決勝戦 かみいゆ VS ライカル

Writer:@suparku3

第4回静岡CS団体戦 決勝戦
かみいゆ(闇単ハンデス) VS ライカル(白刃鬼)

 

カバレージは物語だ。で、あるならばカバレージライターはきっとその物語の語り部だ。

早いもので静岡CSもついに4回目となった。
第1回~第4回を通し静岡CSは大きな「変化」を「進化」を遂げてきた。
いまこの瞬間。これから行われる決勝戦はその大きな波の最先端だと言ってもいい。

目の前には緊張した選手それぞれの顔が並んでいる。
ここから語られるべき物語がある。
中央のフューチャーテーブルには30人は悠々と超えてしまうであろうギャラリーが取り囲んでおり、決勝戦前のビリビリとした緊張感に支配されていた。

ここが「第4回DM静岡CS」という名の物語の終わり。そして始まりなのだ。
いまこそ、その物語を語ろう。

かみいゆはここ静岡県のプレイヤー。過去の実績は未だ持ってはいないが冷静なプレイを行うこれからが期待されるプレイヤーだ。

魔狼月下城の咆哮

そんな未来のプレイヤーが操るはハンデスベースの闇単。使用理由を伺ってみると個人戦で≪ミステリー・キューブ≫系デッキや≪龍覇 グレンモルト≫系デッキが多いように感じ、それに対して強いデッキを団体戦で握ったそうだ。今回のデッキ分布を見るに恐らくこれには成功したと言ってよいだろう。

冷静なかみいゆとは反対に熱いプレイをみせてくれるのは神奈川県出身のライカル(今回の登録名は”なぐゆー”であった)。もはや語ることすら尻込みさせるような戦績で、2004エターナルリーグ追加予選優勝、2005ジェネレートリーグ関東C3位・・・などなど上げていくとキリがない。おそらくDMの世界で最も有名なのは彼であり、彼に尊敬を抱くプレイヤーは非常に多いことだろう。

必勝の頂カイザー刃鬼

そんな彼が今回使用したデッキはチームメイト達同様の白刃鬼。≪デュエマの鬼!キクチ師範代≫や≪魔天降臨≫などを含むデッキに当たってしまうと怖いと語ってくれたが、ここまで勝ち上がってくるあたり流石しっかりと環境を捉えていたようだ。

かみいゆがハンデスで手札を枯らし盤面をコントロールするか、それともライカルがうまくそれをかわし盤面に変換することが出来るかがこの勝負の重要なポイントとなる。

クールでホットな読めないふたり。
対照的な二人の織り成す舞が始まろうとしていた。

かみいゆ(ハンデス/黒) VS ライカル(白刃鬼/白青赤緑)


 

GAME1

ミラー怪人ドテラバラ

かみいゆが≪ミラー怪人ドテラバラ≫を設置する静かな立ち上がりからゲームは始まる。
「あれ、きっついんだよなー」は、ライカルだ。

泣きっ面に蜂とばかりに針を差し込んでいくのは≪解体人形ジェニー≫。
ジェニーの効果によって、ライカルの手札が広げられる。≪パクリオ≫≪フェアリー・シャワー≫≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫≪ドンドン吸い込むナウ≫。痛み分けはごめんだ、とばかりに≪パクリオ≫が墓地へ送られる。

ライカルはマナの充実を図るべく≪フェアリー・シャワー≫をプレイ。効果によって手札が増えるがそれも一時的なもの。≪ミラー怪人ドテラバラ≫によって≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫が捨てられてしまう。

2回のハンデスによってペースを握ったかみいゆ。≪超次元リバイヴ・ホール≫から≪ヴォルグ・サンダー≫を呼び出し早期にライカルのライブラリーを狙う。返しのライカルが唱えるは、またしても≪フェアリー・シャワー≫。ハンドを増えさせない≪ミラー怪人ドテラバラ≫のハンデスが落とすのはまたしても大型ブーストカードの≪セブンス・タワー≫。ライカルにとって、どちらも手札に握っておきたいカードであったのだろう。悔しそうに≪セブンス・タワー≫を墓地へと見送った。

さらに山札を削らんとする≪超次元ミカド・ホール≫。≪ヴォルグ・サンダー≫の効果により墓地に≪サイバー・N・ワールド≫が落ち僅かに手札が2枚。山札も残り僅かと早くも具合の悪いライカル。ハンデスで破壊されるくらいなら・・・と8マナを捻り≪不敗のダイハード・リュウセイ≫を場に召喚する。

いまだ圧倒的有利なかみいゆは手札を狙い≪解体人形ジェニー≫をキャスト。効果によってライカルの手札を0に・・・と思いきや、飛び出してくるのは≪永遠のリュウセイ・カイザー≫! 狙っていたのであろうか? 盤面にいきなり2体の大型ドラゴンがそびえ立つ。かみいゆのハンデスを掻い潜り、場を作らんとするプレイングは小さな針の穴を通す細い糸のようだった。

ここで、手札0枚のライカル。「さーて、Nワールドきたよー(山札からドローしつつ)・・・ほらきたっ!」なお、魅せる。まるでショーを見ているかのごとく、ギャラリーから驚きの歓声があがる。ライカルの呼びかけに答えたかのようにトップから顕現した≪サイバー・N・ワールド≫。これには、ここまで冷静なプレイをしていたかみいゆも驚いたようで納得いかないとばかりに首を横に傾ける。

なおも、ライカルの攻勢は止まらない。勝負を決めんとばかりに≪永遠のリュウセイ・カイザー≫が咆哮をあげ盾が1枚焼却。WBにより盾が1枚・・・2枚目で≪魔狼月下城の咆哮≫。STのカウンターによって≪不敗のダイハード・リュウセイ≫が破壊されてしまったが間髪いれず出たばかりの≪サイバー・N・ワールド≫でもWBを決める。即死は免れたものの、かみいゆの盾は5枚から一気に0枚へと落ち込み早くも崖っぷちだ。

九死に一生を得たかみいゆ。≪超次元ミカド・ホール≫で≪永遠のリュウセイ・カイザー≫を選択し場にいる≪ヴォルグ・サンダー≫2体で≪サイバー・N・ワールド≫もろとも殴り返す。超次元の効果により呼び寄せた≪時空の霊魔シュヴァル≫を≪霊魔の覚醒者シューヴェルト≫へと覚醒させることでライカルに対してのSAのケアをおこないつつ、盤面に致死打点を揃える好プレーだ。二転三転する攻守。まだだ。まだ勝負は終わっていない。

霊魔の覚醒者シューヴェルト

返しのターン。ライカルの手札から≪アポカリプス・デイ≫が唱えられると、≪ヴォルグ・サンダー≫×2、≪霊魔の覚醒者シューヴェルト≫、≪解体人形ジェニー≫×2≪ミラー怪人ドテラバラ≫が光の奔流へと掻き消えてしまう。
置き土産だと、ばかりに≪霊魔の覚醒者シューヴェルト≫と≪ミラー怪人ドテラバラ≫の効果が誘発し盾と手札を1枚ずつ削る。一息つくライカルは、チームメイトへ「落ち着いていこう!俺もまだ頑張るから!」とエールを送っている。こういったチームの士気を上げる行動も団体戦の大事な醍醐味の1つなのだ。

場も盾も0枚となってしまったかみいゆ。立ち直さんとばかりに≪サイバー・N・ワールド≫と盾から得られた手札から≪西武人形ザビ・バレル≫×2をプレイしライカルにdisカードを迫る。が、ライカル。その返しはまたしても新たな≪サイバー・N・ワールド≫。効果によりまたもリセットを受けるかみいゆ。ハンデスにとってはとても苦しい展開だろう。

暴走気味のライカルへとストップをかけるべく、かみいゆは≪解体人形ジェニー≫を召喚する。≪サイバー・N・ワールド≫にて新たに引かれた5枚が公開され、
≪サイバー・N・ワールド≫≪永遠のリュウセイ・カイザー≫≪フェアリー・ライフ≫≪フェアリー・シャワー≫≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫
の中から3度目のリセットを許さないため≪サイバー・N・ワールド≫が選択される。さらに≪永遠のリュウセイ・カイザー≫という不安因子はあるが戦線に≪ミラー怪人ドテラバラ≫を追加し、ライカルの手札にさらなるプレッシャーを掛ける。

返しのライカル。マナゾーンに≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫をセットしつつ、かみいゆのハンデスを待ってはいられないとばかりに≪永遠のリュウセイ・カイザー≫を召喚し、即座に≪サイバー・N・ワールド≫とアタック。当然かみいゆも通すわけにはいかない。≪西武人形ザビ・バレル≫×2でブロックし直接攻撃を阻む。いよいよ大詰めだ。

捌くは≪超次元リバイヴ・ホール≫からの≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫。効果対象は当然≪永遠のリュウセイ・カイザー≫だ。≪超次元リバイヴ・ホール≫の効果により回収した≪西武人形ザビ・バレル≫を使いまわしブロッカーを用意する。かみいゆの使用しているこのデッキは本当に器用で対応幅に優れている素晴らしいデッキだ。

ライカルにとっての11ターン。≪フェアリー・シャワー≫を打ち手札の交換を計るもののその他のアクションを行うことは出来ず≪サイバー・N・ワールド≫で≪西武人形ザビ・バレル≫を討ち取りターンを返す。どうやらここにきて先程マナへと埋めてしまった≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫が響いているようだ。

激しく攻守が入れ替わる様はまるで二人でダンスを踊っているかのようだった。
かみいゆは≪解体人形ジェニー≫をプレイし自身の盾がないものの、ライカルのアタッカーとなる≪「必勝」の頂カイザー「刃鬼」≫を抜き去る。さらに連続して≪超次元ミカド・ホール≫を唱えることで≪サイバー・N・ワールド≫を弱体化させつつ≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫で殴り返しを行う。出すのは当然≪ヴォルグ・サンダー≫だ。≪サイバー・N・ワールド≫がようやくいなくなった山札を再度狙っていく。

トップから引いた≪パクリオ≫を即座にプレイするライカル。かみいゆの1枚の手札は≪超次元ライデン・ホール≫だ。盤面にブロッカーとシールドが存在しないためかみいゆの超次元を確認しシールドを埋めないことを宣言する。

かみいゆのラストドロー。≪ローズ・キャッスル≫。シールドがないかみいゆは、それを要塞化することが出来ず≪パクリオ≫を処理することが出来ない。ワンチャンスとばかりに≪超次元ライデン・ホール≫から≪ヴォルグ・サンダー≫を呼び出しライカルのライブラリーを狙ったが≪サイバー・N・ワールド≫によって何度も回復された山札をすぐさま削り切ることは出来ず、静かに投了を宣言した。

かみいゆ 0-1 ライカル

 

実は、かみいゆの場には≪解体人形ジェニー≫×2 ≪ミラー怪人ドテラバラ≫≪ヴォルグ・サンダー≫×2(内1体が召喚酔い)≪時空の凶兵ブラック・ガンヴィート≫と十分な打点が揃っていた。ライカルの盾が≪霊魔の覚醒者シューヴェルト≫でブレイクされてしまっていため盾が4枚。かみいゆは焦りからか≪パクリオ≫を処理できないと敗北してしまうと勘違いしてしまっていたのだろう。それだけ決勝戦という重圧は凄まじい。姿を見ることのできない魔物がこの決勝戦には潜んでいた。


 

GAME2

先行はまたしてもかみいゆ。しかし、今回はライカルがスタートダッシュとばかりに≪フェアリー・ライフ≫のマナブーストを決めた。返しのターン。かみいゆはそれ以上させまいと先程同様≪ミラー怪人ドテラバラ≫でプレッシャーを与える。≪ミラー怪人ドテラバラ≫を恨めしそうに見つつ「マジそれ嫌いなんだよなー」と、ぼやくはライカルだ。

しかし、この男「ライカル」。この大舞台、この局面、この場面でまったく緊張していないのか先程から実に楽しくゲームを行っている。これが、これまで彼がいままで積み上げてきた圧倒的なまでの経験値の差なのであろうか? 周囲の視線などはねつけてしまっているようなプレイング。このゲームの行方に、カバレッジライターという立場の筆者でさえ非常にわくわくしてしまう。もっとだ。もっと魅せてくれ。観客を含めすべてのプレイヤーの内なる欲求が叫びをあげようとしていた。

続ける、ライカルのターン。設置したドテラバラの初仕事は≪フェアリー・シャワー≫で整理された手札のハンデスだ。落とすは前試合と同様にまたも≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫。どうやら彼≪ミラー怪人ドテラバラ≫君のお気に入りは大型マナブーストカードらしい。

大型ブーストを失い自由に動けないライカルに対し、かみいゆは≪解体人形ジェニー≫を2ターン連続で召喚する。手札の≪サイバー・N・ワールド≫≪ピクシー・ライフ≫を続けざまに捨てさせ危険を生もうとする芽を綺麗に摘んでいく。

手札を枯らされたライカルが引いたのは待望の大型ブーストである≪龍仙ロマネスク≫だ。≪魔天降臨≫の有無を考慮したのだろう。少し悩んだ末にプレイすることを決意する。

山札が減った今がチャンス。と、ばかりに≪超次元ミカド・ホール≫から出てくるのはやはり≪ヴォルグ・サンダー≫だ。削れる山札。ライカルのライブラリーは残すところもう後僅かだ。

そんな場面、ライカルのドロー・・・

 

サイバー・N・ワールド

≪サイバー・N・ワールド≫

 

・・・なんでやねん!! これには流石のライカル自身もびっくりしたのか、「あれ?」とばかりに首を傾け、その効果により互いのデッキをシャッフルしている。どうやらライカル、≪サイバー・N・ワールド≫に愛されているようだった。

再び元通りになる場。ターンを貰うはかみいゆ。ライカルのマナが9マナ。≪超次元ライデン・ホール≫をプレイすることで≪解体人形ジェニー≫を生贄にしつつ、攻守両用の≪ヴォルグ・サンダー≫と≪時空の霊魔シュヴァル≫を立てることでデッキ、シールド両面からの攻め手を作っていく。

ライカルのターンは≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫の3ブーストによって始まる。≪ミラー怪人ドテラバラ≫と≪霊魔の覚醒者シューヴェルト≫の効果が誘発し、手札からは≪永遠のリュウセイ・カイザー≫盾からは≪ドンドン吸い込むナウ≫が発動された・・・あれ? さらっと総計12コストもの踏み倒しが行われる。
シールドから発動された≪ドンドン吸い込むナウ≫によって回収されたのは≪アポカリプス・デイ≫。≪ドンドン吸い込むナウ≫によって誘発した≪ミラー怪人ドテラバラ≫のハンデスを避けつつも、その効果によりフィールドを綺麗にリセットした。さあ、反撃の準備は整った。次のターン。≪「必勝」の頂カイザー「刃鬼」≫が呼び出す紅きハンター達が勝負を決める。

そして・・・その願いは届かなかった。場に降り立つのは紅きハンターではなかったのだ。降り注ぐはかみいゆの操る黒いハンター≪ヴォルグ・サンダー≫。マナを伸ばし手札を潤したライカルのデッキという名の資源は、無限ではなかったのだ。

かみいゆ 1-1 ライカル


 

GAME3

ここまで互いに一歩も引かず互角。笑っても泣いても最後のゲームとなる。実はこの時点で、かみいゆの所属するチーム「ぼくのずるやすみ」は2人が敗北を喫してしまっていた。しかし、このマッチには関係ないとばかりに黙々とシャッフルをする両プレイヤー。お互いが、この勝負の行方が意味のない勝負だとは思っていないのだろう。ギャラリー全員の視線が2人の対戦の行方を見守る。勝ちのさらにその先へ。プライドとプライドが激突する。

今度こそ先行は、ライカル。「やっと先行もらえたわー」と嬉しそうだ。

序盤は「いつもの流れ」だ。ライカルが2ターン目にブーストを決め、かみいゆが≪ミラー怪人ドテラバラ≫を出す。暗黙の了解。まるで通過儀礼のようだった。しかし、先の2戦と異なったのがやはり先攻後攻である点だろう。ライカルは≪ミラー怪人ドテラバラ≫を出される前に唱えた≪ドンドン吸い込むナウ≫で≪サイバー・N・ワールド≫の回収を行った。

≪解体人形ジェニー≫をプレイしたいかみいゆ。だが、どうやら今回は引くことができなかったようで≪ミラー怪人ドテラバラ≫をさらに場へと追加するのみでターンを返す。

予定調和の≪サイバー・N・ワールド≫が召喚され両者の手札が整う。かみいゆの手札から即座に≪龍神ヘヴィ≫がプレイされWBである≪サイバー・N・ワールド≫が除去されていく。

その返し、少考するライカル。意を決したように≪爆進イントゥ・ザ・ワイルド≫で3ブースト。誘発した≪ミラー怪人ドテラバラ≫×2のハンデスは≪サイバー・N・ワールド≫と≪ピクシー・ライフ≫を打ち抜いていく。
ライカルは、トップから何か引くぞとばかりに追加で≪ピクシー・ライフ≫を唱え、自らの最後の手札となる≪永遠のリュウセイ・カイザー≫を自らの盤面へと差し向ける。僅か1ターンにしてライカルの6枚もの手札がなくなり、マナ4枚と1体の龍へと変換される。起こるのだろうか? 3試合目にしてまたもデッキトップからの奇跡が。

かみいゆの7枚もあるハンドからは当然のように≪デーモン・ハンド≫がプレイされ≪永遠のリュウセイ・カイザー≫の除去へと向かう。そうなってしまうならばやはり厳しい。
ライカルのドローは、≪フェアリー・シャワー≫≪龍仙ロマネスク≫≪ドンドン吸い込むナウ≫。どれも≪ミラー怪人ドテラバラ≫が場にいる際には、解決にはならないものであった。その隙にかみいゆは≪超次元リバイヴ・ホール≫を連打することでライカルの山札を削り取っていく。

ヴォルグ・サンダー

3体目の≪ヴォルグ・サンダー≫が投げられたライカルは自身の山札を公開し、「ありません」と一言呟いた。

かみいゆ 2-1 ライカル


 

関連リンク:[第4回DM静岡CS団体戦/入賞デッキ]


カテゴリ:カバレージ