dottoが競技イベント出場に至るまでの経緯は、他の選手とやや異なる。
関西の選手である彼が、最初に”ガチ”に触れたのはネット。そこからCGIex、DMvaultとネットでデュエルマスターズをプレイしてきた。
そんな彼も、CS初入賞からすでに4年半。入賞回数が20を超える、トップクラスの実力を持つ選手だ。
彼に相対するのは、チームAQUAWAVEのロマノフsign。愛知の選手でありながら、実力を買われ関西のチームに所属している。
レジェンドとして、自身の名を刻むのはどちらか。勝てば予選抜け確定となる、第5回戦が始まる。
Game1(先攻:dotto)
1ターン目からロマノフsignが動いた。《ベイB ジャック》をマナへ置くと《トレジャー・マップ》を使い、《アラゴト・ムスビ》を手札へ。
dottoが2ターン目に《予言者クルト》を召喚すると、ロマノフsignはまたも《マップ》で《フィーバー・ナッツ》を回収。
次のターンも、dottoが《制御の翼 オリオティス》を召喚すれば、ロマノフsignは 《青銅の面 ナム=ダエッド》を出す。
dottoが《タイム1 ドレミ》を召喚すれば、ロマノフsignは《龍覇 マリニャン》から《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》を出す。
相手のリソースには干渉せず、互いに自分のリソースを貯め込んでいく。
そして5ターン目、dottoは《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》を召喚し3ドロー。マナにはすでに《ダイヤモンド・ソード》がある。
彼の手札はわからない。けれど、次のターンにはきっと勝負が決まるだろう。
その状況でもロマノフsignは揺るがず。落ち着いて《エウル=ブッカ》を裏返し、《蛇手の親分ゴエモンキー!》をマナチャージ。
そして《フィーバー・ナッツ》、《ダエッド》、《ゴエモンキー》をを召喚。
増やしたマナから更に 《ダエッド》、《雪精 ジャーベル》を場へ。手札には《S級原始 サンマッド》が加わる。
パーツをそろえたロマノフsignは、ループの開始を宣言した。
彼の使うデッキはゴエモンキーループ。発売されてまだ日の浅い《ジャック》と《ゴエモンキー》、《サンマッド》を駆使して相手のデッキを削り切るアーキタイプだ。
《ゴエモンキー》と《サンマッド》でバトルゾーンとマナの行き来を自由に行い、コストは《ジャック》で捻出。あとは任意のクリーチャーを組み込み、好きなだけ場に送り込むのみ。
ロマノフsignはひとしきり《ジャーベル》をループさせ、デッキボトムを固定。 《ダエッド》で山札を残り1枚にまで削ると、最後は《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》で自分の山札を回復させつつ《曲芸メイド・リン・ララバイ》でdottoの山札を削り切った。
dotto 0 – 1 ロマノフsign
殆どの競技プレイヤーは、様々な種類のデッキを使い分けて入賞している。メタゲームや大会規模に合わせ、その時々でアーキタイプを選択するのが常だ。
だが、ロマノフsignは違う。彼が今日ここに来るために挙げた戦績のうち、およそ7割が《龍覇 サソリス》をメインとするデッキによるもの。
特定の種類のデッキに対して理解を深め、より進化させる。「ミラーでは差がつきにくい」と言われて久しいこのゲームで、なお彼はデッキの限界を追う。
そんな”サソリス使い”ロマノフsignが今日選んだのは、《ジャック》を投入したゴエモンキーループだった。
1度動き出せば、相手のアーキタイプに左右されずに勝利できるのがループの強み。彼の選択は、吉と出るか。
Game2(先攻:dotto)
2ターン目。ロマノフsignの《マップ》で《ゴエモンキー》が手札に加わる。
先攻はdottoだが、先に動くのは変わらずロマノフsignだ。
dottoは3ターン目、《ドレミ》と《予言者クルト》を展開。対するロマノフsignは 《ダエッド》でマナ加速。
互いに自分のリソースを延ばす。これも変わらない。
4ターン目、《オリオティス》を召喚したdottoは、《ドレミ》を手に取り、このマッチで初めての攻撃宣言を行った。
革命チェンジで《ドレミ》と《音精 ラフルル》を入れ替えつつ、ロマノフsignのシールドを1枚ブレイクする。
だが 《天真妖精オチャッピィ》を持っていたロマノフsignは、ストライク・バックでマナを増やした。更に自ターンで《マリニャン》を召喚し《エウル=ブッカ》を出すと、 《オチャッピィ》で《音精 ラフルル》へアタック。マナから《サンマッド》を 《オチャッピィ》に重ね、効果で《ラフルル》をマナへ送り込む。
《時の法皇 ミラダンテXⅡ》への革命チェンジを止められたdottoは《ルネッサンス》で手札を増やすが、ロマノフsignを止められるわけではない。
ロマノフsignが《ジャック》と《ゴエモンキー》を揃えてループを処理し始めると、やがてゲームが終わった。
dotto 0 – 2 ロマノフsign
「2試合とも、あと1ターンで《時の法皇 ミラダンテXⅡ》を出せたのに…抱え落ちでした」
そう話すdotto。あと1歩のところまで、彼は来ていたけれど。dottoほどの選手でも、その”あと一歩”が遠い。
それが、レジェンドCSなのだ。