【第2回レジェンドCS】準々決勝:いわな VS あばばば

18時半を回っている。
それでも、会場の観客は減る気配がない。

少し前に、決勝の組み合わせが決まった。いわなの相手はあばばばだ。

かつてのレジェンドCSでトップ8入賞を果たし、再びその舞台に現れたいわな。
かつての日本一決定戦で頂点に立ち、今日初めてレジェンドCSという舞台に現れたあばばば。
遜色ない実力を持つ二人だが、両雄並び立たず。次のラウンドに進めるのは一人だけ。

英雄は、ただ一人でいい。
誰も到達出来ない強さの高みを目指すため。
全力を解き放つ。


Game1(先攻:いわな)

先攻のいわなが《コアクアンのおつかい》で手札に3枚のカードを加えれば、あばばばは《神秘の宝箱》で《アルカディア・スパーク》をマナへ。
いわなが呪文を封じるべく《タイム3 シド》を出せば、あばばばは《ウソと盗みのエンターテイナー》を召喚して応じる。

いわなはその《エンターテイナー》をものともせず、《ドラゴンズ・サイン》から《真・龍覇 ヘブンズロージア》、そして《真聖教会 エンドレス・ヘブン》を出した。
《真ロージア》は破壊されたものの、《エンドレス・ヘブン》の効果でシールドが増加。《真・天命王 ネバーエンド》への龍解を達成する。

続くターン、《解体人形ジェニー》で手札を削られながらも、いわなは《シド》を追加し、1体目の《シド》でシールドをアタック。《真ネバーエンド》の効果であばばばのクリーチャーをフリーズさせ、盤面の処理を狙ったのだ。
トリガーの《ドンドン吸い込むナウ》で出したばかりの《シド》を手札へ送還されるも、残る《真ネバーエンド》で《解体ジェニー》を戦闘破壊し、ターンを終えた。

場持ちの良い《真ネバーエンド》をどかせないあばばばは、革命チェンジで《蒼き団長 ドギラゴン剣》を出し、ひとまず《シド》を戦闘破壊。《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》を出し入れして封印を削る。

一方のいわなは自ターンに《Dの牢閣 メメント守神宮》を貼り、《シド》と《真ネバーエンド》で相手のシールドを減らしていく。
あばばばのシールドはついに0となるが、途中で現れた《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》でようやく《真ネバーエンド》の動きを止めた。

あと1ターン、1ターンだけあれば勝てる。
猶予がほしいいわなはあばばばがターン初めのドローを行うと同時、《メメント守》を反転させた。

全てのクリーチャーがタップされたあばばばはしかし、慌てない。
いわなの手札が2枚であることを確認すると、《勝利のアパッチ・ウララー》を召喚して《真ロージア》をめくり、《アクア・アタック<BAGOOON・パンツァー>》を呼び出した。

そしてスピードアタッカーになっている《ウララー》を自爆させると、いわなの手札からめくれたのは《ミラダンテXⅡ》。《勝利のリュウセイ・カイザー》を盤面へ追加する。その《勝利リュウセイ》を《ドギラゴン剣》へ革命チェンジさせ、呼び出したのは再び《ウララー》。

《禁断~封印されしX~》の封印は残り1。
いわなの手札からめくれたのは、《ミラダンテXⅡ》。

《勝利リュウセイ》が呼び出され、禁断が勝負を決めた。

いわな 0 – 1 あばばば


関西の強豪として知られるあばばばは、しかし日本一と言う頂点に立った後から壁にぶつかっていた。
イベントに出ても、勝てない。競技としてデュエルマスターズに向き合ったときに現れる壁。その乗り越え方が、彼には分からなかった。
「日本一を取ったのに、なぜ」…そう思ってしまった時期もあったという。
乗り越えられたのは、2015年。日本一になってから3年以上の月日が経過していた。

苦闘の経験があるからこそ、あばばばは知っているのだろう。
このゲームの勝ち方を。


Game2(先攻:いわな)

2ターン目に《フェアリー・ライフ》、3ターン目に《爆砕面 ジョニーウォーカー》でマナ加速。あばばばの立ち上がりは早い。
一方のいわなは3ターン連続で多色カードをマナへ置く、重い立ち上がりだ。4ターン目にしてようやく《シド》を召喚する。

その返し、2度のマナ加速によって5マナに到達していたあばばばは《イーヴィル・ヒート》を召喚した。そして《ドギラゴン剣》へ革命チェンジ。
マナから《ウララー》、そして効果で《パンツァー》を出し、一気に勝負を決めにかかる。
だがいわなのシールドからは《メメント守》、そして《レインボー・スパーク》が飛び出した。シールドは削り切ったものの、ダイレクトアタックには届かない。

追い込まれたいわなは考える。この局面を打開するために、自分は何をすべきなのか?

選択したのは《ドラゴンズ・サイン》。《真ロージア》を出し、そこでまた逡巡してから《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》を選んだ。
《シド》を《時の秘術師 ミラクルスター》へ革命チェンジして相手のシールドを減らす。そしてターン終了時、《音感の精霊龍 エメラルーダ》を出してシールドを増やす。
いわなは決して諦めていない。

そしてあばばばがターンを始めるべく山札からドローしたとき。反転させようと《メメント守》に手をかけたいわなを、あばばばが止めた。

「それ、やめたほうがいいですよ」

《メメント守》の反転効果のトリガーは”ターン最初のドロー”。
通常、ターン最初のドローはアンタップ処理後に行われる。しかし、あばばばは場に《パンツァー》を出していた。
カードの効果によるドローは、アンタップ処理前。このタイミングでクリーチャーをタップしたとしても、すぐに起き上がる。

あばばばは知っていて《パンツァー》を出したのだろうか。
知っていたのだろう。
よどみない彼の動きはそれを証明している。

固まったいわな。目の前であばばばが淡々と場にクリーチャーを追加している。
敗北を悟った彼は思わず叫んだ。

「ダメだ!東京に帰ろう!」

いわな 0 – 2 あばばば


「前日調整がばれた」…観戦していた原一派の長へ、苦笑しつつ語るいわな。
だが《ミラダンテXⅡ》があれば、逆にいわなが殴り切っていたかもしれない。最後のゲームは、そんな展開だった。

トーナメントから退出し、帰ろうとするいわなにヘッドジャッジのパタが声をかけた。
「いわなさん、以前から憧れていました!」
7年前、第2回関東CSで優勝したいわな。その時に使ったボルコンのリストを見て以来、パタはずっといわなに憧れていたという。

強いから、伝説として名を残すのだろうか。
勝ったから、伝説として名を残すのだろうか。

違う。

全力で戦ったあの日のことが、誰かの記憶に残っているから。
“伝説は、いつまでも語り継がれるから伝説なのだ”。


カテゴリ:カバレージ